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紫の隠者とモスコミュール ページ3

【ジョセフ視点】

 今日シーザーと喧嘩をした。

 些細な痴話喧嘩から始まって、気がつけばどっちも引けないような状態にまでなっていた。

(…………前と全く同じことしてんだよな)

 あの時も、シーザーと喧嘩して仲直りできないまま二度と会うことができなくなった。

 シーザーは兄弟子であり親友……分かってはいるがどうにも言い合いを始めると熱くなってしまうのは俺の悪い癖だ。

 どうやって謝ろうか……と考えていると不意に横の教室からガシャガシャとけたたましい音が響いた。

 突然の音に驚いて思わず教室の中を覗き込むと、誰いない教室の中、一人の生徒が寝ていた。

 机の下あたりにペンや消しゴムが散乱していることから、手が当たって落ちたのだろう。

(一応声かけといたほうがいいよな……)

 数回肩を叩くが全く起きる様子はないどころか、鬱陶しそうに手を払われた。

 仕方なく散乱したものを拾って机の上に乗せてやるがまだ起きてはこない女に対し苛立ちを通り越して呆れていると、ん〜…と不明瞭な声を上げて体を起こす。

「あ、やっと起きた。筆箱落ちてたから拾っといたよん」

「うぇ?……あ、ありがとうございます!」

 ぺこりと頭を下げる女生徒を見ていると、あの…と遠慮がちに声をかけられた

 やべ…ガン見しすぎたか……?

「あの、何かお礼させてください!起こしてもらったのに私、起きなかったし…」

「え?…あぁ、別にいいって」

「ダメです!私、借りは返すようにしてるんです!借りたら返すのが誠意ですから!ちょっと待っててください!」

 女はそう言うとカバンの中を掻き回して何か瓶のようなものを取り出した

「……なにそれ」

「カクテルの材料です。あ、安心してください。アルコールのない風味だけのものですから、どっちかというとカクテル風ジュースって感じです」

 そう言いって、ウォッカ、ライム・ジュース、ジンジャーエールと書かれた瓶の中身をシェイカーの中に入れると手慣れた様子で混ぜ、ライム・スライスが入った濃い紫色の瓶の中に入れた。

「はい、完成しました」

 満足そうにその瓶を差し出す女に若干の不信感を抱きながらも瓶を受け取る。

「一応聞いとくけど、なんてカクテル?」

「それはモスコミュールです。爽やかな口当たりで食前食後いつでも楽しめるカクテルですよ風味だけですけどね。じゃあ私はこれで」

 いらなかったら捨ててください。とだけ言って女は教室から出ていった

・→←プロローグ:運命のホーセズネック



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人力車(プロフ) - 狂犬さん» コメントありがとうございます!そう言っていただければ嬉しい限りです! (2019年11月12日 12時) (レス) id: c2c8156d2a (このIDを非表示/違反報告)
狂犬(プロフ) - 面白いスタンドですね!とても勉強になります!(オリジナルスタンドを作る為の) (2019年11月9日 20時) (レス) id: 5579949a16 (このIDを非表示/違反報告)
手押車(プロフ) - とても面白いです!これからも更新待ってます! (2019年10月29日 7時) (レス) id: 9f1d144e77 (このIDを非表示/違反報告)
人力車(プロフ) - コメントありがとうございます!期待に添えるように頑張ります! (2019年9月23日 13時) (レス) id: 60356de8e5 (このIDを非表示/違反報告)
くとぅるふふっざけんな!(プロフ) - 最初の話読んでみて凄く面白かったのでお気に入り登録して続きを期待して待ってます(о´∀`о) (2019年9月23日 6時) (レス) id: b6db3cbd6d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:人力車 | 作成日時:2019年9月22日 2時

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