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#4 ページ4

「何も言わんつもりか。」


シャキ…という音が聞こえ、相手が剣を構えたんだということが分かる。心臓を貫かれるのを避けるために、身体を少し横にズラす。

「うっ…ぁっ…!!」


脇腹を見事に剣が貫通していた。
血が流れ出していて、見てるだけでも痛い。
いや…体感的にも痛いんですけどね、ええ。

しかし、身体をずらされるのをこいつは予想していなかったらしく、あっさり剣を抜くと、少し驚きの声を漏らしていた。

今のうちに…っ!!

脇腹を押さえてまた走り出す。ここで走らなければ死ぬ。火事場の馬鹿力とはよく言ったものだと思う。

常備していた救急処置セットでとりあえず脇腹に包帯をグルグルと巻きつけた。…本当に痛い。
なんだかこのまま死ぬ気しかしなくなってきた。

…しかもここ行き止まりじゃん。死亡フラグ立った。

すると、また響く革靴の音。
最悪だ。


目の前に来ると止まる男。
最後の力を振り絞り、銃を放った。しかし、ふらふらになっていて、鉛玉は相手の頰をかすめるのみ。

男はその跡を指でなぞり、ついた血を舐めとった。
私は力が抜け、地面に座り込む。
それに合わせ、男もしゃがんだ。

「で、何者なん?それだけ聞かせてくれ。」

その言い方だと、聞いたら殺すってことだね。
言おうと口を開くが、出るのは疲れのみだった。

「ふーっ…うっ…。」

「やりすぎてもう声出えへんな。」


冷たく言い放つと、男は立ち上がって私の首元に剣を当てた。

「答えられへんならもう用済みや。」

コネシマ、マジで地獄行っても天国行っても呪うから覚悟しとけよ。
最後にうちの国王の首跳ね飛ばしてみたかった…。







「おう、トントンやめたれや。」

…?
誰だっけ、この声。もうよく聞こえないや。

「何言うとるん。こいつは観光客か、お前に恋したきっしょいストーカーやで。」

だからそれは失礼すぎるって。
あ、来たのってシッマか。やっと分かった。


「あはははは!!それはおもろいなぁ!A?」

なんでこんなこいつ笑ってられるの。心無いとかそう言うレベルじゃない。
私のことを呼び捨てで呼んだシッマに、『トントン』と呼ばれた男は動揺を隠せなかったらしい。


「え?」


そんな間の抜けた声を出した。
あっ、やべ意識なくなる。



真っ赤に染まる包帯を確認し、そのまま眠りについた。

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作品ジャンル:恋愛
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夜飴月/黄泉月(プロフ) - りんごさん» コメントありがとうございます。そろそろ終わりなので、私生活が安定してきたら更新します…!! (2019年10月8日 19時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
りんご - はじめまして!好きです(唐突な告白)気長に更新待ってます! (2019年9月29日 17時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月/黄泉月(プロフ) - 月さん» コメントありがとうございます。私生活が忙しく、なかなか更新できずにすみません…。 (2019年5月25日 15時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
- 好きすぎる! (2019年5月23日 6時) (レス) id: 235ab58054 (このIDを非表示/違反報告)
- 夜飴月/黄泉月さん» はい!楽しみに待ってます! (2019年5月5日 0時) (レス) id: 4839ac1ad2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夜飴月/黄泉月 | 作成日時:2019年1月18日 20時

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