幸せ【syp】 ページ5
目の前に横たわる異性。
それはまさしく俺の好きな女の子。
しかし、今は素直に喜ぶことができない。
「Aさん、来ましたよ。」
そう、言ってみれば目を覚ます。
「…ん…おはよ…毎日毎日ホントごめん。」
『大丈夫ですよ』と答えたかった。
しかし、なぜか口が言うのを躊躇う。
「ほんとですよ。Aさんがトラックに跳ねられてから１週間、毎日通ってるこっちの身にも…。」
ふとAさんの方を見ると悲しげに俯いていたので、咳払いを２、３回。
「嘘っすよ…。本当に心配で来てるんです。」
ようやく本当の気持ちが言えたと思えば、Aさんは突然泣き出す。
あらま、なんか俺言ったっけ。
「ショッピ君…うっ…ごめんねほんとに…。今日、バイク乗りに行こうって…言ってたのに…っ。」
どんどん涙が溢れるAさんにハンカチを手渡す。
ああ、患者衣びしょびしょ。
革ジャンを肩にそっとかけてあげた。
「なんで泣いてるのかと思えば…そんなしょーもないことで泣いてたんか。いいですか、Aさん。トラックに跳ねられて死ななかっただけ良かったんすよ。不幸中の幸いです。」
なにを当たり前のことをつらつらと。
自分に少し怒りを覚える。
こんなときでも想い人を慰められない自分の愚かさを呪った。
すると、Aさんはふにゃりと笑みを浮かべた。
「…よかった。もしかしたら、私、嫌われたかなとか…。」
「す、好きな人を嫌いになるわけないやないか！」
あっ。
思わず言ってしまった本音にドギマギする。
待ってください、今のは…なんて言えば…。
ち、ちゃうんすよ…ちゃうんすよ…！
「あ、あの…Aさんすみません。えっと…その…。」
上手く言葉が紡げない。
いつも通りといえばいつも通りだが、いつもと決定的に違うのは、胸の高鳴りだ。
「ショッピ君！」
「はっはい！！」
いきなり呼ばれて背筋を伸ばして固まる。
Aさんは俺の革ジャンをしっかりと掴んだ。
「私も好きだよ！」
そしてニカっと笑うのだ。
その笑顔を見ると、やっぱり好きだな…と。
「…あ、ありがとうございます。ほら、早く治してください、ツーリング行くんでしょ？」
照れ隠しなのかそんなことを言うとAさんはクスクスと笑って『はーい』なんて呑気に返事をする。
そんなAさんに自らも笑いかけた。
幸せを感じるのってこういうときなんやな。
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夜飴月／黄泉月(プロフ) - 悠哉さん» リクエストありがとうございます。了解です！ (2019年1月4日 23時) (
レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
悠哉 - はじめまして！リクです！ツーマンセル組(zm syp)で軍パロが見たいです！落ちはなんでもおっけーです (2019年1月4日 23時) (レス) id: 23affa0a0e (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月／黄泉月(プロフ) - 甘党吸血鬼なづさん» リクエストありがとうございます。承ります！ (2019年1月3日 22時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
甘党吸血鬼なづ(プロフ) - リクエストなんですけど、エミさんで学パロみたいなのって出来ますか？ (2019年1月3日 22時) (レス) id: 544e4af6c9 (このIDを非表示/違反報告)
夜飴月／黄泉月(プロフ) - 白華時雨さん» 同い年で自らは堕ちていき、それでも彼女のことは心配するという、クズさの中に塗れた優しさを書いてみました。そこまで考えていただけるとは思っていませんでした、ありがとうございます！ (2019年1月2日 14時) (レス) id: 89c3a7601e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜飴月／黄泉月 | 作成日時：2018年12月31日 22時
