お願い ページ37
(…え)
地面を背に、Aは呆気にとられる。勢いよく打ち付けた腰が痺れるように痛い。最近運動していなかったのを、これほど後悔するとは。
「んー、何お願いすっかなー」
真上には、呑気にお願いを考える左近がいる。負かされた悔しさと羞恥だろうか。顔が歪む。それに自分でも驚く。いつもあまり表情は変わらないはずなのに。
(まあいいか)
兎に角、いつまでも寝ているわけにもいかないので、Aは地面に手をついて起き上がろうとする。
「あっ」
起き上がろうとした矢先に、左近が声をあげる。願い事が決まったのかと、Aは溜息をついた。
「決まりました？」
地面に転がった扇子を拾って閉じながら、Aが聞く。さっきの左近みたいに、じりじり痛む腰をさする。
「別になんでもいいですよ。言い出しっぺは私ですし」
「え…でも…」
「ほんとになんでもいいですから」
本気でやったのもA、それで負けたのもA。本気でやれと言われたのも左近、戦って勝ったのも左近。左近がどれほどの力で今戦っていたのか分からないが、既にAに勝る実力だったから、今まで前線で戦っていたのだろう。自分が弱いからいけないのだ。Aはそう思うことにした。
「じゃあ」
ようやく左近が口を開く。こちらに顔を向けず、頭を掻いている。
「えっと…今日の夜、一緒に寝てくれません？」
「は？」
Aは割と本気で顔を歪めた。
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鶯餅(プロフ) - コメント有難う御座います！これからも更新頑張ります! (2018年5月29日 18時) (
レス) id: d3725be283 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜 - 楽しく読ませて頂いてます！更新頑張って下さい!^ ^ (2018年5月29日 14時) (レス) id: df783c30d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鶯餅 | 作成日時：2018年5月2日 22時
