勝ち ページ36
「うぉー痛ぇー」
腰をさすりながら、左近が立ち上がる。Aは表情を変えず、また扇子を構える。
「痛いなら別に降参してもいいですよ。怪我されても困りますから」
「心配してくれてるんすか!?」
「別に。貴方は大事な戦力ですし」
目を輝かせる左近。どこまでもおめでたい頭の持ち主だなと思った。一気に距離を詰める。
「褒めてくれてるんすよね!!」
「まあそうなんですかね」
左近も落ちた双刀を拾うと、Aの頭めがけて振り下ろす。それを左に避けると、Aは左近の右腕を押さえて扇子を左近の首に勢いよく振ろうとする。
(ちっ、避けたか)
心の中でAは舌打ちする。
「おー、あっぶねー…」
扇子の刃は左近の前髪を掠めた。Aはもう一度攻撃しようとするが、左近の長い脚がまた伸びてくる。ぎりぎりでかわしたが、もう少し遅かったらAは腹を抱えて悶絶していたかもしれない。
そのまま左近は双刀で攻撃を仕掛けてくる。こちらも負けじと応戦していく。
(やばいな)
ちょっと遅めの朝餉を食べてからあまり時間が経っていなかったからなのか、最近寝不足気味だったからなのか、はたまた持病が久しぶりに「やぁ僕だよ」みたいな感じで出てきたのか。
分からなかったが、頭が少しくらくらする。
「隙あり!」
「なっ…!」
Aは足を滑らせて後ろに転ぶ。そのまま左近に押し倒された状態になる。
「へへー!俺の勝ちっすね!」
左近はAの目の前でにっこりと笑った。
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鶯餅(プロフ) - コメント有難う御座います!これからも更新頑張ります! (2018年5月29日 18時) (レス) id: d3725be283 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜 - 楽しく読ませて頂いてます!更新頑張って下さい!^ ^ (2018年5月29日 14時) (レス) id: df783c30d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鶯餅 | 作成日時:2018年5月2日 22時