心壊 ページ24
「おい左近、姫様は」
突然左近が現れたことにも驚かず、牡丹はそれより不安そうな顔で質問した。
「城を出て、東へ…」
「莫迦野郎!なんで止めなかった!」
牡丹は左近を怒鳴りつける。
(あの野郎………)
嫌な予感が当たった。察しのいい牡丹にはすぐわかったのだ。
(あいつは離反した)
Aなら自分の目で確認するまで信じようとはしないだろう。そのために、兄と同じように走っていく。本気で何も考えず、Aが走っていった場合、止めなければ追いつくことは不可能だ。
「……っ」
牡丹はばつが悪そうに舌打ちした。厄介なことになった。Aは立ち直れなくなるかもしれない。外で野垂れ死なれては、元も子もない。
「俺、姫さん探しに行ってきます」
左近の言葉に、とっさに牡丹が叫ぶ。
「何処行ったかわかんのか!?」
「方向は覚えてるから大丈夫っす!!姫さんのことなら、真っすぐ東へ進んでるはずなんで!」
「なんでわかる!?」
「ちゃんと見てたんで！！」
「な…」
牡丹には左近を止める余裕はなかった。
◆◇◆◇
(姫さん………!)
城の外は、近くの山の際まで暗い青に染められようとしていた。もっと早く追いかけていれば。そう思うだけ無駄だ。割れた皿が元通りに直ることのないように、時間だって戻せることはないと左近はわかっている。
足りない頭を必死に回して考える。Aは無事か。身体に異常がなくても、心が壊れてしまっていたら。
「姫さん!!!」
Aは道の真ん中で、項垂れるように座り込んでいた。
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鶯餅(プロフ) - コメント有難う御座います！これからも更新頑張ります! (2018年5月29日 18時) (
レス) id: d3725be283 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜 - 楽しく読ませて頂いてます！更新頑張って下さい!^ ^ (2018年5月29日 14時) (レス) id: df783c30d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鶯餅 | 作成日時：2018年5月2日 22時
