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思案 ページ20

「いやあ久しぶりに佐和山城の空気吸ったー!」
桜が背伸びした。お久しぶりの佐和山城である。

「おかえりなさいませ、姫様」
城門の番をしている兵士が頭を下げる。Aは
「お疲れさまです」
と返事をした。
「戦の間、私が城主をしますので」
「はい、すでに大谷様から伺っております」

流石刑部さんだ、と思っていると、思いもよらないことを聞いた。
「大阪に行かれる前に、今度の戦の間の城主は姫様だと」
(結構前から決まってたのか)
Aは心底驚いた。

久しぶりに入った自分の部屋は、なんだか懐かしく思えた。女中には部屋は掃除しなくていいですよ、と言ってある。自分のことは極力自分でやってしまいたい。暫く使われていなかった机の上に指を滑らせると、埃が薄く指に付いた。
(後で掃除しなくては)
机の端に積まれた本に付いた埃を払ってから、机を薄い布で拭いた。机はつるつると黒く輝いていた。

他に特にやることもないと、Aは座布団を枕にして横になった。

◆◇◆◇

(開戦まであと二日ほどか)
誰もいない縁側で、牡丹は考えた。丁寧に手入れされた庭の池に、小石を投げ込む。

(小田原城は落ちるかね)
今回攻める小田原城は、かつては難攻不落、無敵の城と言われたほど強固だったというが、現当主、北条氏政の代ではどうやらそうでもないらしい。雇われた忍はとてつもなく強いと聞くが。

(だが心配なのはそこじゃない)
今や豊臣に逆らう目立った反乱分子は、北条のほか、奥州の伊達・四国の長曾我部くらいか。
他の有力大名は、完全に豊臣に降伏はしていないものの、今は動くこともない。
しかし、誰かが今謀反など企てて、それを北条攻めのときに実行しようものなら。
豊臣に不満を持っている大名なんかいようものなら、謀反を起こした者に続く可能性は無いとは言い切れないのだ。しかも、今まで動かなかった大名が、謀反を起こした者と同盟を組んだりしたら。
(また敵が増えるな)
ろくなことがない。そこまで考えて、牡丹はもう一つ、池に小石を投げた。

(徳川家康がどうも怪しい)
そう思うのは牡丹の考え過ぎなのだろうか。
戦のたび、奴は心を痛めて、悲痛な顔をしていた。今の状況を変えようと、何か行動を起こすのでは、と牡丹は踏んでいた。

(考え過ぎならいいがね)
考えるのも面倒くさくなってきたので、牡丹はとりあえず味方の勝利を願っておくことにした。

可能性→←城主



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鶯餅(プロフ) - コメント有難う御座います!これからも更新頑張ります! (2018年5月29日 18時) (レス) id: d3725be283 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜 - 楽しく読ませて頂いてます!更新頑張って下さい!^ ^ (2018年5月29日 14時) (レス) id: df783c30d2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鶯餅 | 作成日時:2018年5月2日 22時

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