幽霊が見える女は明治時代へやってきた【金カム】 (ページ1)

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プロローグページ1

『今日も仕事が終わらない……』

手を必死に動かして取り掛かってもなかなか書類の山が減らず、思わず口から嘆き声が零れる。

『うーん……都会も大して変わらないな』

配属された場所はパワハラセクハラ当たり前で上司にイヤミを言われ続けながら仕事三昧。

休みが取れるなんて一年に数回あるくらい。あまりのブラック企業ぶりにおかげで隈はさらに酷くなり眠気が浅くなった。

夜遅くになっても相変わらず今日も会社に残っているのは私だけ。カタカタとパソコンを打っていく音が部屋の中に響いている。

『やっと終わったー………』

パソコンのブルーライトを浴び続けた目は乾燥しており、何度か瞬きをした後に片手で眉間を揉む。

居た。まだ居た。

視界の隅に人型の黒い影が映ったので咄嗟に目を閉じた。

この世のものではないモノ、幽霊が見えたからだ。

『早く帰らなきゃ』

なるべくソレを視界に入れないように俯きながらそそくさと会社を出た。

駅に到着したので改札を通り電車が来るまで待っている。
今日は珍しく私だけしか残っておらず、人一人居ないことに少し嫌な予感がした。

電車が来るアラームが鳴り響いてよいしょ、と鞄を抱え直すとふと背中を押される感覚がした。

『は』

後ろを向くと私を押したのは先ほどの幽霊だった。

それは軍服を着ており頭から血を流している男で表情は軍帽の影で見えなかった。

そこからグチャッという音がして意識がプツリと途絶えた。

『ここはどこ…………？』

気付いたら辺り一面は白く覆われた世界だった。