私は、失敗作だった。【東京喰種】

06 ページ6

･

『ほ、本当にすみません……』





鏡に映る自分の顔と、カネキさんの顔




｢気にしないで。僕も、こんなに長い髪切るのは初めてだけど……大丈夫だよ｣



ほのかに笑うカネキさんに、優しさを感じた。



｢どんな感じがいい？｣



ペラッと、ページを見る。



『あ、これ……』



カネキさんが覗く。



｢ボブ系か。似合うと思うよ｣



そ、それはモデルさんが……


人生初だ。ボブヘアにするなんて




｢Aちゃんって、元が可愛いから目元とかも出せばもっと可愛いよ｣



『ぇ、ぁ……そ、そんな』



やっぱり年上だからだろうか。


カネキさんって、女の子慣れしてるんだなぁ




チョキチョキと、スムーズに切っていくカネキさん




美容院に行くとバレる可能性があると言われ、カネキさんに甘えてしまったが……


それにしても、カネキさんって



なんか顔のパーツ……凄く揃ってるなぁ



サラサラな髪も、綺麗な肌も


女子の私とは大違い…。




｢あ、あの……そんな鏡越しに見られると恥ずかしいかな｣




『う、え……すみません！』






そっと目を逸らした。





･


｢はい、完成｣



『わぁ……す、凄い』



鏡で左右に見る。

手で髪を触ったり、クルッと回ってみたり




『カネキさん……凄いです』



ありがとう、なんて言って笑う。


美容師よりも上手いんじゃないか？



｢お姉ちゃんー！見せて！｣



『今、行くね！』



ドライヤーのコードに引っかかってしまった。




｢大丈夫？｣



すっぽり腕の中


恥ずかしい



『ご、ごめんなさい!!』



退かないと……っ




｢あ、待って｣




"凄く、可愛い"




『へ……ぇ』



｢見せてきなよ｣






万丈さんや、ヒナミちゃん達に絶賛してもらい




でも、さっきのカネキさんの声と言い言葉と言い



顔の熱がおさまるのには、もう少し時間がかかりそうだ。









･

07→←05

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す