私は、失敗作だった。【東京喰種】

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優しくて、私のことを一番に考えてくれる母さんが好きだった。



仕事熱心で、自慢の娘だと笑顔で褒めてくれる父さんが好きだった。



夏休みは、どこか旅行に行って誕生日は、母さんの手作りケーキで、その光景を写真で撮る父さんの笑顔が嬉しくて


なにより、ふたりが大好きだった。
時に、叱ってくれて 将来の夢だって真剣に向き合ってくれて

どんなことが起きても、絶対に私の味方でいてくれた。



けど、私の性格は他から見れば暗いほうだった。
勉強も運動も普通だった。
特技も、なくて私は友達もうまく作れなかった。



｢きっとね、Aのことをしっかり理解してくれる人は、必ずいるよ｣


『でもっ……いないもんっ……クラスのまみちゃんみたいに……っおしゃれじゃないし……りょうこちゃんみたいに、かけっこだって速くないもん』



私の本音が、どんどん出てきて
でも、母さんは優しく抱きしめて話を聞いてくれた。


｢そうね。でも、Aの良さはきっとAが知らないだけでたくさんあるのよ？｣



ぐずる私は、嫌味のように母さんに聞いた。

『じゃあどこ？』


母さんは、微笑んで


｢それはね、誰よりも周りのことを見れるところよ｣


小さい私は、そんなの嬉しくなかった。

だって、そんなの目立たないしみんなに気づいてもらえない。


｢この先いいことばかりじゃないかもしれない。でも、大丈夫。周りをよく見て？きっと、同じように悩んでる子はいるわ｣




あなたなら、きっと目を落としてしまいそうな子を見つけられる。




母さんの言葉は、魔法のように私の耳に入った。



その日から、私は悩まなくなった。


『母さん母さん、髪縛って』


前までは、こんなこと頼まなかった。


｢母さん、Aの髪可愛くしちゃおうかなー？｣


特別に飾らなくていい。

変に見栄を張らなくていい。

そう母さんは、話してくれた。




『いってきます！！』


｢いってらっしゃい｣




今日から、ちょっと話しかけてみようかな？



いつも、朝は学校へ向かう足は重かったけど


今日は、軽かった。



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