罠 ページ9
連れてこられたのは路地裏。
先は行き止まりだ。
「本当にここなんですか?えーと…」
「樋口です」
「樋口さん。密輸業者というのは臆病な連中です。だから必ず取引場所には逃げ道を用意しておく」
潤も、この違和感の正体に気づいたらしい。
「彼の言う通りです。でも此処、袋小路ですよね?捕り方がそちらから来たら逃げ場がない」
僕は樋口さんの方、すなわち入ってきた方を指差す。
「その通りです」
そう言って、彼女は髪をまとめ始めた。
「失礼とは存じますが、嵌めさせて頂きました。私の目的は、貴方がたです」
彼女はサングラスをかけると、電話を取り出した。
「芥川先輩」
「「芥川?!」」
「やっぱこうなったよ…」
驚きを隠せない様子の敦くんと潤、ナオは僕のつぶやきに気づかないようだった。
「予定通り捕らえました」
まったくなんでよりにもよって…。
そんなことを考えていると、樋口さんが銃を構える。
「こいつッ!」
「ポートマフィア!!」
「3人とも、危ない!」
僕は叫ぶも、時すでに遅し。
樋口さんは銃を連射し、そして─────
「兄、様…大、じょうぶ…」
「ナ、オミ…ナオミッ!」
「ナオっ!」
ナオは潤を庇って背中じゅうを撃たれていた。
「ど、どうしよう…そうだ、止血帯!敦くん、止血帯ある…いや、まずは傷口を洗って…」
パニックになる潤。
そして、おそらく人が打たれるところを初めて見たであろう敦くんは完全に腰が抜けて怯えきっていた。
その間に、樋口さんはマガジンを取り替えている。
「落ち着きなさい潤!」
僕は潤を一喝する。
「Aさ…」
「僕は探偵者に戻ってナオを与謝野先生に預けてくる。すぐ戻ってくるから、敦くんと2人でなんとか持ちこたえて」
潤は一度目を見開き、ナオを見てからしっかりと頷いた。
「お願いします」
その言葉に僕はナオを横抱きにする。そして。
「異能力『舞踏会 ワルツ・アップテンポ』!」
ワルツ・アップテンポ。
脚力を普段の3倍にする能力。
つまりこれを使えば、いつもの3倍は速く移動できる。
体力が持てば、ね。
僕は地面を強く蹴りビルの上に出て、屋根伝いに探偵者を目指した。
ラッキーキャラ
宮沢賢治
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風鈴(プロフ) - ドルチェさん» ありがとうございます!これからまた1日1話更新を心がけていきたいと思いますのでよろしくお願いします! (2016年6月1日 21時) (レス) id: 03566c106c (このIDを非表示/違反報告)
ドルチェ - 交信お疲れ様です! やっぱりいいですねぇ、流石です!!次も頑張って下さい!応援してます! (2016年6月1日 6時) (携帯から) (レス) id: 4b2aa12345 (このIDを非表示/違反報告)
風鈴(プロフ) - ドルチェさん» ありがとうございます!アンケートが終わりましたらまた書き始めますのでよろしくお願いします! (2016年5月27日 7時) (レス) id: 03566c106c (このIDを非表示/違反報告)
ドルチェ - 初めまして!!ドルチェと言います。 黒き舞姫、拝見させてもらってます。 私は中也さんと芥川さん圧しです!! これからも頑張って下さい! 応援してます!! (2016年5月27日 6時) (携帯から) (レス) id: 4b2aa12345 (このIDを非表示/違反報告)
風鈴(プロフ) - オルカさん» ありがとうございます!これからも頑張ります! (2016年5月25日 20時) (レス) id: 03566c106c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風鈴 x他1人 | 作成日時:2016年5月10日 22時