またね ページ30
「しっかし…」
気を取り直したらしい中也さん。
ニヤリと唇を歪める。
「こりゃ最高の眺めだ。百億の名画にも優るぜ」
「最悪。うわっ最悪」
相変わらず仲いいなあ。
「前から疑問だったのだけどその恥ずかしい帽子どこで購うの?」
「それは聞き捨てなりませんねえ太宰さん」
僕も同じ帽子をかぶってるんだけど。
しかもこれすごい大切なものだし。
「だが今や手前は悲しき虜囚。泣けるなァ太宰」
どうでもいいけどいきなり話の流れ変えるのね。
「否、それを通り越して─────」
中也さんが太宰さんの前髪を掴む。
「─────少し怪しいぜ」
おお、さすが元相棒。
「丁稚の芥川は騙せても俺は騙せいっでえ!」
「あ、すみません足が滑りました」
いや別に中也さんが龍のことをバカにしたからとかそういうのじゃないから。
ただ足が滑っただけだから。
そしたらその滑った足が中也さんの背中に当たっただけだから。
「と、とにかくだ。俺は騙されねえ。何しろ俺は手前の元相棒だからな。…何をする積りだ」
太宰さんは手を動かし、鎖を鳴らす。
「何って…見たままだよ。捕まって処 刑待ち」
「私はある人に会いに」
「ある人だ?」
どうやら中也さんは僕のほうが気になったらしい。
「太宰さんが捕まってくれたおかげで、口実ができました。太宰さんには感謝してます」
「誰に会いに来た?芥川か?」
「違いますよ」
僕は帽子を取り、胸に当てる。
「『この帽子に誓った想いは今でも変わらない』。そういえば、わかってもらえるでしょうか」
中也さんの表情が変わる。
その顔にあるのはただ一色。
『驚き』だ。
「お前…それだけのために…?」
僕はもう一度帽子をかぶり、外套を翻す。
「さて、これで僕の用事は終わりました。帰りますね」
「待てっ!」
中也さんの方を振り向き、彼の言葉を待つ。
「俺も、変わってねえから」
正直驚いた。
まさか、まだ…。
「ありがとう、ございます」
僕は中也さんに駆け寄り、抱きつく。
抱きしめ返してくれた久しぶりの温もりを堪能し、離れる。
「次は、戦場で会いましょう」
「…ああ」
絶対に、また会いましょう。
「またね、中也さん」
僕の、愛しい恋人。
ラッキーキャラ
宮沢賢治
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風鈴(プロフ) - ドルチェさん» ありがとうございます!これからまた1日1話更新を心がけていきたいと思いますのでよろしくお願いします! (2016年6月1日 21時) (レス) id: 03566c106c (このIDを非表示/違反報告)
ドルチェ - 交信お疲れ様です! やっぱりいいですねぇ、流石です!!次も頑張って下さい!応援してます! (2016年6月1日 6時) (携帯から) (レス) id: 4b2aa12345 (このIDを非表示/違反報告)
風鈴(プロフ) - ドルチェさん» ありがとうございます!アンケートが終わりましたらまた書き始めますのでよろしくお願いします! (2016年5月27日 7時) (レス) id: 03566c106c (このIDを非表示/違反報告)
ドルチェ - 初めまして!!ドルチェと言います。 黒き舞姫、拝見させてもらってます。 私は中也さんと芥川さん圧しです!! これからも頑張って下さい! 応援してます!! (2016年5月27日 6時) (携帯から) (レス) id: 4b2aa12345 (このIDを非表示/違反報告)
風鈴(プロフ) - オルカさん» ありがとうございます!これからも頑張ります! (2016年5月25日 20時) (レス) id: 03566c106c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風鈴 x他1人 | 作成日時:2016年5月10日 22時