Summer.1 ページ1
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「MANKAIカンパニー……」
ボロボロの劇場に傾いた看板。
客らしき声もせず、本当に今日が開演日なのかと思っている。
天馬「朱月、何してんだよ｣
高そうなでかい車の窓を開け、話しかけてきたのは皇天馬。
人気の俳優でもあり、私の幼なじみ。
「いやぁ……両親の勧めで来てみたけど、人がいる気配なくて……」
天馬「開演時間は何時だ？」
「三十分前……」
天馬「中に客がたくさんいるんじゃないのか？」
「とりあえず、中に入ってみる……」
天馬「おい、俺は行かねぇぞ」
さりげなく、手を掴んだつもりだったがやっぱりバレてしまった。
「じゃあ……また明日ね」
私が悲しそうな顔をすると天馬は優しくなる。
天馬「わかった！行けばいいんだろ！」
私は、そういう天馬が大好きだ。
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中へ入ると、やっぱり人はほとんどいなくて。
空席がほとんどだった。
天馬「……はぁ……帰ろうぜ」
「うーん……でも、見る価値はあるはず」
最初は天馬もいやいや言ってたけど、私の隣に座ってくれた。
天馬「まず、脚本がダメだ。演技も下手すぎる」
「あんなにキラキラしてる人は初めて見たよ。こんなにも人が来てなくても頑張って演技を続けようとするの」
天馬「……まぁ、メンタルは強いって事か」
演技していた子は、とてもキラキラしてて脚本も演技もほとんどダメだったけど私には羨ましく思えた。
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「ふぅ……」
その後、天馬に送ってもらって家に帰った。
家は冷たくて静か。
私の両親は、服のデザイナー。
世界にも認められている。
家に帰ってくることはほとんどなくて、帰ってきたといえば私の誕生日くらい。
"私もデザイナーになりたい"
いつしか、言わなくなった言葉。
本当はまだ諦めていないのだけれど、もう＿＿＿＿＿
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作者名：じゃがはびー x他1人 | 作成日時：2017年2月26日 12時
