【文豪ストレイドッグス】私は君で、君は君

47話 ページ49

まぁそこから何やかんやあって、おっさんは色んな意味で潰された




「さて敦、手分けして爆弾を解除するよ。妾は前、アンタは後部だ」


「もし、敵がいたら？」


「ぶっ殺せ！」




後ろを向いて後部を目指し走り出す

真ん中に集まる乗客の波を避け乍ら走る


爆弾を解除しなければ、この大勢の人数が死ぬ

……異能がちゃんと機能すれば良いんだけど



シャンッとどこか鈴が鳴るような音がしたと思ったら、風が横を通り過ぎる。あの時すれ違った女の子だ




「君！危ないよ！そっちには爆弾が……！」




その子は何かを聞いて携帯を耳に当て乍ら此方に振り返った


そして彼女が軽く耳を離した時だ




ゴッ




「っ、！！」




何が起きたか判らなかった。その直後に腹に衝撃が来て、気づいたら躰がくの字に曲がっていた


痛みが走る腹を抑え乍ら立ち上がって彼女の方を見れば、背後に鬼神とも云えるような着物の人がいた




「ゲホッ」




口から血が出たが気にしている場合ではないようだ


彼女に近付こうとするが、何度も躰に衝撃が来る




「がっ……！」




何も見えないまま攻撃だけを受ける


異能の使用が侭ならないのが前回理解したからどう手を出していいか解らない


マズいな……



ガキンッ




「……！？」




夜叉が刀を収めるだけ見えた。その後は電車の扉が切られ、自分の腹から血が吹き出た


夥しい量の血だ




「〜ッ！！」




あまりの強い衝撃に倒れる。彼女は反射した目で此方を見下す




「けほっ、何故……君みたいな女の子が」


「……私の名は鏡花。あなたと同じ孤児。好きなものは兎と豆腐。嫌いなものは犬と雷。マフィアに拾われて六ヶ月で35人殺した」


「……」




フラフラするが、尚も立ち上がる

立ち上がらなきゃいけない




「35人、殺し……！」




立ち上がったと思ったら今度は心臓辺りに刀が刺さり、壁に刺さる




「ガハッ！」




感じるのはあり得ないほどの痛み


私が感じる痛みだ

死ねるのでは……？




刀が抜かれ、その場にズルズルと座り込む



息切れが激しい

手が震えている



何故こんなに小さい子が光の無い瞳を持って沢山の人を殺さなければならないのだろう……



だなんて思う心は私には無かった

無関心すぎると自分でも思う

退屈な時間が長かった所為なのか、何かが欠如してるみたいだ



なぁ敦、君なら立ち上がれるだろうが私には無理だ。だからさ


変わってくれよ








そこで意識が途切れた

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