【文豪ストレイドッグス】私は君で、君は君

35話 ページ37

国木田side





数分経てば与謝野女医が眉間に皺を寄せて戻って来た




「何だいありゃ、一歩間違えれば死んでたよ。敦は再生能力持ってるンだろう？」


「はい………それが俺にもさっぱりで」


「彼なら鉄が貫通していても、それごと塞いで治るんでしょうけど……ただ」


「ただ、何だい？」


「……彼が治したいと、詰り生きたいと思わなければ話は別なのかも知れない」


「「っ！？」」




小僧が生きる事を望まない……だと？




「敦君は異能を社長のお陰で制御出来るようになってきている。だから望まなければ発動しない……まぁこれはあくまで私の見解だけど」




見解だと太宰は云うが、此奴のこういう発言は中る確率が高い



だとしたら……

奴は命を粗末にしている可能性が高いという事だ




「妾ゃそんな感じに見えないけどねェ……寧ろ生きたくて仕方ないって人間に見える」


「私もそうだと思ってますけど……ほんの少しだけ私と同じ匂いがするんですよ……」


「太宰と同じ匂いか……面倒事が増えるだけだな」


「えっ国木田君、酷くないかい？」




太宰が少し落ち込んでるのは無視だ




そんな事より考える事は山積みである


敦の件もそうだが、第一は今回の依頼の趣旨である一ノ瀬紗代の両親の救出


捕らわれている訳では無いが、彼らを悩ます種を吹き飛ばしたいというものだろう


軍警に駆け寄っても頼りにはならないと踏んだのか……




何故だ？

抑も一ノ瀬は軍警に駆け寄ったのか？



あぁ、俺の理想が崩れまくって胃痛と頭痛が酷くなる一方だ



そんな時だ




バンッ




「「「！」」」




大きな音を立てて扉が開いた

36話→←34話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す