【文豪ストレイドッグス】私は君で、君は君

32話 ページ34

『君達が困ってそうな予感がしたから何か気分が良いこの名探偵が助っ人になってやろう！』




気分で手助けしてくれるのかこの人。てか何も云ってないのに内容判るとか……うん、ヤバい




「あ、ありがとうございます……」


『全くだよ。君達は僕が居ないと本当に駄目だからね！』


「それで、何処に爆弾が？」


『釣具屋さん』


「「え…？」」




無言で車内の後ろにあった地図を広げる

ぱっと見て目がついたのは根岸町の釣具屋さん。その付近には石油コンビナートが広がっていた


成る程




「其処は根岸町ですか？」


『御名答。調べるの速いね』


「偶々地図広げて目がついたのが其処だったんです」


「そうか、流石乱歩さんだ。では早速向かおう。ありがとうございました、乱歩さん」




何処かで見た事のあるやり取りだ

確か………蒼の使徒


でもオリジナルなのでは？交差してるのか……？

だとしたら最悪じゃないか




『待って』




通話終了釦に指をかけた所で呼び止められた




「どうしました？」


『事件のことだけど、旧国防軍施設に通信機とかを搬入した人が居るみたいなんだ』


「軍の施設に？」


『そ。だからそこに行けば爆弾を止められる筈だ』


「はい、判りました」


『……金属には気を付けて』


「え？」




突然話が切り替わった

幸いな事は私だけがこの話を聞いているという事だ




『……A』


「！」


『死なないでね……』




珍しいな、あの乱歩さんがこんな弱々しい声を出すなんて




「大丈夫ですよ………多分」


『そこは断定して云ってよ！僕、凄く不安なんだけど！』


「ハハッ、頑張ります」


『笑わないの！じゃあねっ！』




ブツっと通話が切れた

目的地を二人に伝えて、車は方向転換をして走り出す




「私は社長からだ。軍警からの連絡で、掌に数字が出ていて、その数字は「0」だ。死因は不明だが、首を押さえていたから苦しみ乍ら事を終えたと思われる。社長は爆弾の犯人と同一人物だと思っているらしい」


「掌に数字だと……？」


「数字、ですか……何か数えていたのでしょうか」


「おそらくカウントダウンだろう。私は遠隔操作の類の異能だと睨んでいる」




……この辺、蒼の使徒まんまじゃねーか

嘘だろ




「着いたぞ」




車が止まり、目の前には巨大な施設が扉を開けて待っていた




警備は………

かなり薄いようだ


普通に車を降りて、堂々と出入口に向かう


空は既に朱色に染まっていた

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