【文豪ストレイドッグス】私は君で、君は君

20話 ページ22

意識を保て、私

少しでも気を取られた瞬間



喰われる




「ねぇ、僕は君と話したい」


「っ……」


「出てきてよ」




だなんて思ってたけど、もう目が合った時点で

緑色の瞳が此方を覗いた時点で


喰われていたのではないだろうか


ならば手段は残り一つ




「……乱歩さんは僕のことを二重人格か？と聞きました」


「そうだよ、それで君に出て貰いたい。それが何？」


「……乱歩さんが云うのだから、きっとそうなんじゃないですか？」


「っ！……へぇ、誤魔化しに来たか」




何かもう諦めた


この状態を続けて居れば此方側がポロッと吐くのも時間の問題。だから諦めた



否、正確には肯定も否定もしないで曖昧にした

乱歩さんもそんなのお見通しだ


それに、どうせ乱歩さんは確信を持ってるからこんな事を云うんだ

足掻いてどうする




元より、私は終わりが見えている勝負事は嫌いだ。それが長くなるのはもっと嫌いだ


そんなの直ぐに退屈になるじゃないか




ガタンッ


列車が止まる時の衝動が躰に届いた。駅名を確認すれば依頼人のいる場所は確かに此処だ




「乱歩さん、降りますよ」


「ちぇっ、後一寸だったのにぃー」


「ほら立って下さい」


「あっ、女の子なんだ」


「……そうなんじゃないですか？」


「出た、その誤魔化し方。それ嫌いなんだけ………ちょ、待ってよ！」




適当に返事をして乱歩さんの前を歩く。そしたら後ろから慌てて乱歩さんが駆け寄り、手を掴んだ




「な、何で手を繋ぐんですか！？」


「僕道知らないし、歩くの速いじゃん！」




突然掴まれたものだから吃驚して大きな声を出してしまった。それに間髪入れず子供口調で理由を述べる彼も彼だ





＿＿＿




＿＿




＿





「遅いぞ探偵社！」




助けを求められた場所は川辺

其処には沢山の警察関係者が忙しなく働いている中で私たちを待っていたかのように立つ刑事の部下のような人




「ん、きみ誰？安井さんは？」


「俺は箕浦、安井の後任だ。本件はうちの課が仕切る。貴様ら探偵社は不要だ」


「莫迦だなあ。この世の難事件は須く名探偵の仕切りに決まっているだろう」


「フン、抹香臭い探偵社など頼るものか」


「何で」


「殺されたのが………俺の部下だからだ」




遺体の元に巡査が行き、上に掛けてある布を捲った

そこで横たわるのは胸に三発撃たれた女性


遺体なんて慣れてないんだ

口元を手で塞ぎ、その遺体を眺める


化粧はしていなかった

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