【文豪ストレイドッグス】私は君で、君は君

17話 ページ19

再び目を覚ました


視界に広がるのは天井と、真っ白な掛け布団




「気づいたか。全くこの忙しい時に……」


「国木田、さん……」




上半身を起こしたら頭痛がしたが大した事無かったので余り気にしない




「あっ、谷崎さんとナオミさんは！？」


「無事だ。隣で与謝野先生が治療中」


「ギャアアアアッ！！」




隣から断末魔に似た叫びが聴こえた


治療とは一体……




「聞いたぞ小僧。七十億の賞金首だと？出世したな。マフィアが血眼になるわけだ」


「そうです！どどどうしよう！マフィアが探偵社に押し寄せてくるかもっ！！」


「狼狽えるな。確かにマフィアの暴力は苛烈を極める。だが動揺するな。同様は達人をも殺す。師匠の教えだ」




教えを説く国木田さんは自分の手帳の頁を一枚捲った

その手帳が逆さまに見えるのは幻では無いらしい




「あの……手帳さかさまですよ」


「…………」




何事も無かったかのようにそっと戻した




「俺は動揺していない！マフィア如きで取乱すか！仮令今ここが襲撃されようと俺が倒す！」




凄く国木田さん焦ってる

何かを云ってるが説明がワヤワヤしてて良く伝わらない


逆に凄い




「ふん、奴らは直ぐに来るぞ。お前が招き入れた自体だ、自分の出来る事を考えておけ」




そう云い乍らこの部屋から出て行った


頭にある眼鏡を探す下りは割愛しよう







さて、どうしたものか



本来ならば敦が此処を出て行くのだが


若し仮に敦が襲撃が来ると判っていたらどんな行動をするのだろうか




出来るだけなら変えたくない


もし戻った時に敦が一番自然体で居られるのはちゃんと軸に沿った場所だ




それに、今日が終われば戻る予定だし


と云っても勝手に私がそう決めただけなんだけどさ




職場がボロボロになって国木田さんの胃がキリキリするだなんて申し訳ない結果を残すしかない


折角の職場だけど我慢しよう




荷物は…………纏めなくて良いか



本音を云うと私は黒蜥蜴を倒してみたい





社長の異能がちゃんと効いているのか試してみたいし、それを扱えるのかも知りたい


でも敦は何も知らないのだから行動は起こさない



少しだけ家出をするのみ





何事も無く、探偵社が圧勝するとは判っていても







何かを見殺しにする気分だ




「自分の出来る事………か」




私に出来る事は、これなんだけど



本当にこれが正しいのだろうか

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