【文豪ストレイドッグス】私は君で、君は君

12話 ページ14

「すンませんでしたッ！」


「ぁ、え？」




探偵社員御用達の喫茶処「うずまき」にて、谷崎さんの謝罪が響いた




「その、試験とは云え随分と失礼な事を…」


「ああ、いえ、良いんですよ」




申し訳なさそうな顔をし乍ら云ったので慌てて顔の前で手を振る


謝る事なんて無いのに律儀な人だな




「小僧、貴様も今日から探偵社が一隅。ゆえに周りに迷惑を振りまき社の看板を汚す真似はするな」




名前を呼ばれて何かと思えば当たり前の事を云われた

その後直ぐに太宰さんが迷惑噴霧器と化したのはノーコメントだ




「改めて自己紹介すると……ボクは谷崎。探偵社で手代みたいな事をやってます。そンでこっちが」


「妹のナオミですわ！」




その自己紹介に躰が勝手に動いて立ち上がった


成る程ね、驚いてるのか




「本当に兄妹だったんですか！？」


「そうだよ。だから先刻云われた時は少しだけヒヤッとしたよ」


「本当に吃驚しましたわ」




入社試験の際に兄妹発言をしたからな

あくまで仮令ばだけど


にしても本当に似てない、髪も目も。まぁ凄く仲良し……うん、仲良しってのは伝わる


あ、そうだ、話を進めなきゃ

七十万が本当に貰えるか知りたい




「そういえば皆さんは探偵社に入る前は何を？」


「何してたと思う？」


「へ？」


「なにね、定番なのだよ。新入りは先輩の前職を中てるのさ」




飲んでいた湯呑みを置いて顎に手を当てて一応考える振りをする




「はぁ……じゃあ……谷崎さんと妹さんは………学生？」


「おっ、中ッた。凄い」


「どうしてお分かりに？」


「ナオミさんは制服から見たまんま。谷崎さんの方も……齢が近そうだし、勘で」


「やるねえ。じゃあ国木田君は？」


「止せ！俺の前職など如何でも……」


「うーん、お役人さん？」


「惜しい」




じゃあもう少しだけ踏み込んでみようか

国木田さんを弄るの面白いし




「だったら教師とかですか？僕個人としては数学ですね。何かしっくりきます」


「ふぁっ！？」




ふぁっ……？


何それ、面白い




「おっ正解。じゃ私は？」


「太宰さんは……」




頬杖をつき乍らニコッと笑う。何か猫みたいだ



知ってるけどな、云ったら疑われそうだし……

でも賞金が本当に貰えるかも知れないし……




「無駄だ小僧。武装探偵社七不思議の一つなのだこいつの前職は」


「最初に中てた人に賞金が有るンでしたっけ」



お金の力って凄い


決意が揺らぐね

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