【銀魂】難あり波もあり

笑えない ページ22

ー銀時サイドー



麗らかな陽気とちょうどいい眠気。
最高な条件を整え、俺は行きつけの甘味屋へと
足を伸ばした。・・まではよかったが。




「ーーー何でいんの」

「仕事でさァ」

「仕事ってお前、それどんな仕事」

「犯罪の臭いがするもんで」
「誰が犯罪予備軍だ」




ベンチに腰掛けた俺の隣には、クソ野郎の中の
クソ野郎が一人。本当に神出鬼没だこいつは。

もちゃもちゃと団子を貪る腐れ警官は、
おそらく居座るつもりだ。







「ーーそういや、おめでたですってねィ、旦那」

「ぶごっ、・・はあ！？」





オメデタ？何が？誰か知り合いがガキでも産んだか
ついにゴリラがゴリラ襲ったのか。・・と、
まだ知らぬ恐ろしい事実が垣間見えたところで、




「あり？Aさんと見事ゴールインって
聞きましたが」


「・・・紛らわしい言い方してんじゃねーよ」

「なら、認めるってことで？」



いや待て。何でこいつ知ってんの。
Aはこいつを警戒しまくってるわけで、
からかいの的になるようなネタは提供しない。

ならば何だ？盗聴器でも仕込んでんのか。それとも
とうとう人の心を読む魔術でも会得したか


ーーーまあとにかく、誤魔化しが最早無意味だと
いうことだけは理解した。






「テメェ、それ誰から聞いたんだよ」


「は？定食屋のオヤジですが」
「あの老いぼれ今度寿命縮めてやる」




なるほど。情報源はそこか。
Aの様子から察しやがったか。あいつから
話したのか。まあそこはどうでもいい。




「この前は、Aさん出勤してなかったんで。
旦那との馴れ初めとか、あと惚気とか、
色々聞けやしたよ」

「何でオヤジがんなこと知ってんだよ！」

「さあ？」



まさか、あのオヤジに話したのかあいつ。
よりによって口の軽さが滲み出てるような奴に？

それが回り回ってこの悪魔にまで届いたと？
冗談じゃねェ。笑えねーぞ。



「そんなこの世の終わりみてーなツラしねェでも、
別に悪いようにゃしやせんて」

「悪用しかしねーよな？終わるよな俺の世は！？
魔王による暗黒世界の幕開けだろうがァア！」

「こりゃ純粋な祝福なんですけどね」

「・・今この場で最も信用ならねェ言葉だな」

「そりゃ心外でィ」



どこまでも調子の変わらない野郎に、
本当に暗黒世界の始まりは避けられないことを
悟った俺は、がくりと頭を落す。ーーと、その時
「あ、」と沖田。





「何だよ！！」
「・・面白ェもんが見えますぜ」




指差す先には。

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