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準備 ページ19

ー土方サイドー





雨があがった。

騒々しかった雨音もすっかり止んで、
静かな夜を迎えていた。


筆を走らせる手を止めて、障子を開け放つ。
ふと見上げた空からは、あれだけ厚く張っていた雲がすっかり撤退し、三日月がのぞいていた。





「どうにも、振り切れねーな」



今は、水岡信彦だ。大友は、その名を聞いた途端に
顔色が変わったということだった。今総悟の尋問が
行われている頃だろう。


新しくタバコに火をつけた。
ふぅ、と小さく吐き出した紫煙が静かにくゆる。



















「ーーー土方さん」

「・・どうだった」




噂をすれば何とやら。
しかめっ面で現れたのは、総悟だった。

「人があくせく働いてる間にタバコなんざ、
優雅なもんでさァ」と、嫌味ったらしく文句を
垂れたそいつは、肩を落とす。

どうやら手こずったようだ。





「俺も仕事中だ。ーーで、どうだった?」

「どうもこうもありやせんぜ。前までだんまり
決め込んでた野郎が、急に態度変えて
命乞い始めやがった」


「命乞いだぁ?」

「水岡は怖ェんだと」

「・・はあ?」



つまるところ、こうだ。

水岡の名を出した途端、青ざめた大友は、
自分のこれまでの所業を洗いざらい吐き出した後
「水岡に殺される。あいつから守ってくれ」と。





「豚箱にいる以上、そんなハエが入ってくることも
ねェと思うんですがね。あ、それかいっそのこと、
あいつ縛り付けて荒れ地に放置しとくってのは
どうですかィ?水岡がノコノコやってくるかも
しれやせんぜ」

「お前そういう手法好きだな」


「お手軽じゃねェですか」




そんな簡単なことで犯人がやってくるというなら
警察なんざいらねェっつー話だ。

お気楽な総悟にため息を漏らす。





「・・とにかく、情報は集まったわけだな」

「ええ。ちゃんと守ってやるっつー条件付きですが
しっかり証言はとりやしたよ」


「それならいい」






ーーーこれで、準備は整った。

悪あがき→←損な性分



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設定タグ:銀魂 , 土方十四郎   
作品ジャンル:アニメ
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シュシュ☆☆(プロフ) - 燐さん» ありがとうございます!最後まで読んでくださり、感謝ですっ!! (2018年9月10日 21時) (レス) id: ad40a3ccd1 (このIDを非表示/違反報告)
- 切ない感じからハッピーエンド、感動しました! (2018年9月8日 17時) (レス) id: 6e4e502025 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 蜜柑さん» ありがとうございます!無事完結でございます!そんなお褒めのお言葉をいただきまして、私も言葉にならない喜びに震えております…!読んでくださり、ありがとうございましたっ! (2018年1月26日 22時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - またコメ失礼します。完結おめでとうございます!今回も、なんか言葉にできないけどすばらしくすばらしかったです!!(語彙力が…)シュシュさんの小説大好きなので、これからも新作待ってます!ぜひともよろしくお願いします!! (2018年1月22日 21時) (レス) id: 6a812c0c50 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ミドリムシさん» ありがとうございます!シリアス、確かに多いですね!クールでかっこいいイメージがそうさせるのかも…?足を運んでくださり、本当に感謝です! (2018年1月22日 14時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:   
作成日時:2018年1月14日 12時

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