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シンと静まり返った夜。
きっと、町の人々は眠りにつき、夢を見ていることだろう。






(ーーー私も、夢を見ているのかしら)




だって私の首元には、刀の刃が向けられているし
上からは、その持ち主がすごい形相でこちらを
睨み下ろしているし。どう考えても現実離れしすぎ
ではないだろうか。

この部屋には1人だけだけれど、向こうから怒声が
聞こえたところを見るに、単独犯ではなさそうだ。







「おい女、父親はどうした」

「父上なら、明日の会議に向けて随分前に
屋敷を発たれたわ」


「・・チッ、報告と違うな」





つまるところ、この男たちは父上に用があると
いうことだけど、・・どうしようもない。









「ーーーあの、・・うちに何か御用かしら?
こんな下品な方法ではなくて、ちゃんと正式な
手続きをとって、もう一度出直していただける?」



「あ?」

「今日は父上はいらっしゃらないし、私もそろそろ
眠りたいの。でも客人がいてはそうもいかない。
・・まあ、あなたは客人というナリでは
なさそうだけれど」



「ふん、随分気丈な娘だな」





まあいい、と男。
刀をぎらつかせ、ついでに口角を吊り上げた。






「テメェの親父は官僚長。でけェ屋敷に、女中含め
雇人が複数。随分といい暮らししてんじゃねーか。
金目のモンもわんさか出てくるだろうってな」


「なるほど、あなたたちが噂に聞く盗賊集団ね」




なんだ、知っててその気丈はすげェな、と。
特に感心などしてなさそうな声色でそんなことを
告げて、クツクツと笑う男。





「お前、噂知ってんなら、ーーその家人がどうなるか、それもわかってんだろ?女なら、もっとビビって色仕掛けでもしてみろよ」


「あなたに使う色など持ち合わせていません。
それに、そんなものに応じる気もないのでしょう」


「・・可愛げのねェ女だな」

「ーーッ、」




不思議と怖くなかったのは、なぜだろうか。
丸腰で刀を向けられていて。
状況としては、確かに彼のいう通り、泣いて命乞いでもする方がいいのかもしれない。ーーが、

乱暴に顎を掴まれた今だって、
そんな気は毛頭起きなかった。







「ーーー噂には聞いちゃいたが、いいオンナだ。
根性に関しちゃ図太すぎるが、・・・んなもん、
関係ねーよなぁ?」




父上が帰ってくるまで居座るつもりなのだろう。
下品にゆがむ男の目を見据えながら、これから起こるであろう出来事に、ぎゅっと唇を結んだ。

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