似ている ページ11
ー沖田サイドー
今日は、一段と寒い。
巻いたマフラーに顔を埋めながら、
白い息を吐き出す。
平日であるためか、人はまばらで。
スムーズに道を進む。
ーーーあぁ、そういや、あいつが気に入っていた
甘味屋がこの先にある。
甘いものが好きだと、日替わりで店を探す姿は
どう見てもただの町娘で。
思えば、Aをお嬢様として意識していたのは
出会ったその日だけだった気がする。
(・・ったく、調子が戻らなくていけねェ)
気分転換に外にきたってのに、
これではどうにも意味がない。
ーーー結局、あいつと進んだ道を辿れば
巡り巡って考える内容は転換されないのだから。
1人で自分のペースで歩く。
以前よりスピードが落ちたのは、いつのまにやら
あの女の歩幅に合わせていた癖のせいだ。
「・・まさか、ここまで執念深いたァ」
ふっ、と自嘲の笑みがもれた。
もう二度と会わない可能性の方がはるかに大きいと
いうのに、それでも、こうして街をぶらつけば
どこかにフラリと現れねェかと考えてしまう。
それが重症であることは、重々承知している。
そういえば、14時から会議があるとか何とか
言っていた気がする。時計は5分前を指しており
もう間に合わないだろうと悟る。
中途半端に戻って土方の小言を聞くのも面倒だ。
もう少し時間を潰すかと、近場の公園へ
足を向けた時。ーーその脇にある植木の中の一つに
目が止まった。
「・・あれは、」
トクン、と一つ音を鳴らした心臓。
同時に浮かんだ女の顔。
衝動的に足を動かした俺は、植木のそばに
しゃがみこんだ。
ーーー・・一輪、まっすぐと立っている白い花。
小ぶりな花と、青々とした茎や葉。
風に軽く揺れているそれは、ーー間違いなく、
あいつの待受にあった写真の花だった。
「へぇ、・・こんなとこにいたのかィ。
あの女、随分お前ェに会いたがってたぜィ」
一本だけがまっすぐ天に向かってそびえ立つ。
俺の言葉には耳もかさず、ツンとしている。
ーーーやはり、あいつに似ていた。
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シュシュ☆☆(プロフ) - ミズキさん» ありがとうございます!お忙しい中、こうして足を運んでいただけることが、本当に感謝でいっぱいです!楽しんでいただけていれば嬉しいです! (2018年1月23日 18時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
ミズキ - 完結からかなり時間が経ってしまい、失礼ながらコメントさせて頂きます。夢主ちゃん可愛かったです!初めて真撰組に来た時と比べて性格も成長し、沖田君とも無事結ばれ・・これからも二人のほのぼのとした幸せが続く事を願っています(笑)新作も頑張ってください! (2018年1月23日 16時) (レス) id: d90ef8a117 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ピピコさん» ありがとうございますっ!ほのぼの系目指してたのでそういっていただけて嬉しいです!最後までお付き合いくださいまして、本当に感謝です! (2018年1月7日 8時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 少し遅くなりましたが、完結おめでとうございます!!なんといっても夢主ちゃんが可愛らしくて好きでした!沖田さんとの掛け合いにもほのぼのしました!素敵なお話をありがとうございます!お疲れ様でした! (2018年1月6日 22時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ナナさん» ありがとうございます!無事完結です!2018年、いいスタートを切れればと思います!2017年は、応援ありがとうございました! (2018年1月5日 19時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:
作成日時:2017年12月9日 23時