さむぞらのしたへ ページ10
ー沖田サイドー
こたつを囲み、テレビに目を向ける。
ちょうど、ドラマの再放送が行われており。
お嬢様と召使いの禁断の恋をモチーフに
作られた話だったはずだ、確か。
普段は恋愛ドラマなどに目を通すことはないが、
近藤さんはズビズビと鼻をすすっているため、
仕方ない。良しとしよう。
みかんを一つ口に放り込んだ俺に、その人は
「そういえば、」と。
「ーーー何してるかなぁ、A様は」
「さてねィ。・・・大方、女中ども従えて
文句言いまくってんじゃねーですか」
「何悪態ついてんだ。お前ら最後には随分仲良く
なってたじゃねーか」
仲がいい、とはどの程度のことを言うのだろうか。
例えば、よく共に外出することや、
何か相談し合うような間柄のことをいうのならば、
確かに俺たちはそれなりに仲良くしていたのだろう
ーーーが、関係性は、護衛とその対象。
友達でも、ましてやそれ以上でもない。
あいつが帰って早3日。
比較的ゆったりとした日々を過ごしている。
「・・あ!まさか総悟、A様のこと、
好きになってたりしてェ?」
「ドラマの見過ぎでさァ、近藤さん。
ーーー俺にあんのァ、あんたと剣だけでィ」
どこをどう転がってそんな考えに至ったのか。
まあ珍しく近藤さんが的を射た発言をしたことは
置いておこう。
「にしても、A様も大変だよなぁ。あの若さで
結婚してよ。ーーけどその夫は殺されちまった」
「何が起こるかは、誰にもわかんねーです」
「寂しいと思わねーか?」
「俺たち下民にゃわからねェ世界ですからねィ」
そう、わからねーんだ。
あいつは明江長政を愛していなかったのだ。
悲しくないわけではないと言った。
ーーが、安堵と戸惑いと、焦り。
あの小さく細い体に溜め込んで、
それでも凛と立っていなければならない。
いや、厳密にいえばそんな必要はねーんだ。いくら
金持ちの娘でも、元はただの1人の女なのだから。
「・・・ちょいと出てきまさァ」
「お?おう」
こたつのぬくもりを手放し、
俺はふらりと寒空の下へ踏み出した。
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シュシュ☆☆(プロフ) - ミズキさん» ありがとうございます!お忙しい中、こうして足を運んでいただけることが、本当に感謝でいっぱいです!楽しんでいただけていれば嬉しいです! (2018年1月23日 18時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
ミズキ - 完結からかなり時間が経ってしまい、失礼ながらコメントさせて頂きます。夢主ちゃん可愛かったです!初めて真撰組に来た時と比べて性格も成長し、沖田君とも無事結ばれ・・これからも二人のほのぼのとした幸せが続く事を願っています(笑)新作も頑張ってください! (2018年1月23日 16時) (レス) id: d90ef8a117 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ピピコさん» ありがとうございますっ!ほのぼの系目指してたのでそういっていただけて嬉しいです!最後までお付き合いくださいまして、本当に感謝です! (2018年1月7日 8時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 少し遅くなりましたが、完結おめでとうございます!!なんといっても夢主ちゃんが可愛らしくて好きでした!沖田さんとの掛け合いにもほのぼのしました!素敵なお話をありがとうございます!お疲れ様でした! (2018年1月6日 22時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ナナさん» ありがとうございます!無事完結です!2018年、いいスタートを切れればと思います!2017年は、応援ありがとうございました! (2018年1月5日 19時) (レス) id: a89349d530 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シュシュ☆☆ | 作者ホームページ:
作成日時:2017年12月9日 23時