【銀魂】困惑必須の受愛物語

目に収めたい ページ26

ー神威サイドー




あれほどまでに渇望し、やっと手に入れたそいつは
先ほどまで見知らぬオトコと酒を共にしていた。

Aの吐息からほのかに感じるアルコールに、
俺は心底ムッとした。





「ーーーそれは、気に食わないネ」

「え？」




不思議そうにこちらを見やったそいつの唇に、
・・・小さく、口づけを落とした。

俺の口にも、一気に酒の匂いが広がった。



元来、ーー俺は酒があまり好きではない。

ベロンベロンになったオヤジどもは、
見れたもんじゃないし。




(・・・ケド、)





見下ろした先には、突然のキスに怪訝そうな顔を
するそいつ。ほんのりと赤らんだ頬が、アルコールの影響ならば、ーーうん、悪くない。


いろんな表情を見たい、なんて感じたこともあった

今それが叶っているのだと思えば、
思わず頬が緩んだ。








「ーーー・・ンッ、」




上唇を噛んでやれば、小さく声を上げるA。
いつもの威勢などどこへやら。

びくつく肩と、硬直した体から緊張が伝わってくる






「・・ッ、ーーはっ、」


「ダイジョーブ？随分緊張してるっぽいケド」



「・・・、は？これくらい、平気ですけど」





どこまでも強がるAの熱い頬に手を当てた。
髪にそよぐ柔らかく黒い髪が、俺の掌を撫でる。


ちょうど、流れてきた雲に月が隠れて。
俺たちの周りは、少しの明かりも失った。








「ーーー・・ここじゃ、顔がよく見えないネ」




もったいない。

赤らむ顔も。照れる表情も。強がりも。
ーーー今は全部、全部、目に収めたい。





腕を解いて、船に向かって歩き出した俺に、
Aも静かについてくるようだった。

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