【銀魂】困惑必須の受愛物語

黒と白 ページ24

「ーーんじゃ、末長く爆発しろよ」


「そちらも飲み過ぎに気をつけず
早死にしてくださいね」





この別れ際のセリフからは、あまり仲良くなれたと
いう気はしないけれど、久々に団員以外と話せたのは少し嬉しかった。



よろけながら、二階の部屋へ戻っていく坂田さんを
見送った私は、船へと足を進める。

本当はあと１日猶予はあるのだけれど、なんだか
落ち着かないのだ。そうじゃなくとも、船の自室以外に寝床などない。







「ーーーだめだ。慣れって怖い」



やはり、船内が落ち着く気がする。
・・変な自覚が芽生えてしまった以上、
何をしてても団長の顔がちらついて仕方ないし。




空を見れば、すでに空は暗く、ちらほらと
星が確認できた。・・こうなってしまえば、
ここも、宇宙と一緒だ。違うのは、私の足が
他についているということと、あたりを照らす
街灯、少し冷たくなった風。






「・・・でか」




視線をあげた先には、大きく立派な船艦。
こうして外観を見る機会などそうそうない。

普段、これで宇宙を飛び回っているんだ、私達は。








「ーーーあれ、A」


「ッ、」





素っ頓狂な声が聞こえた。
思わず肩を揺らして振り向けば、

青い瞳を丸くした団長の姿。マントが風に翻り
満月をバックに立ち尽くすそいつ。ーーあぁ、月が
よく似合う。




夜の兎とはよくいったもの。
やはり、私たちは夜行性。






「どーしたの？こんなに早く戻ってきて」

「やることが、なくなりましたので」




いつもと同じ。穏やかで明るい口調。
かすかに足音を響かせながら、私と距離をつめる。






「ふーん、・・まあ、いいケド。
俺もちょうど、お前に渡したいものがあったんだ」


「は？」



もちろん、警戒して後ずさる。
ましてやここは地球だ。私の未知も無数にある。

そっと突き出された拳が、ゆっくり開かれるのを
生唾を飲み込みながら見つめていれば。








「ーーー・・これ、」

「髪につける物らしい。俺にはよくわからないけど
地球の女は、頭でよく花が揺れてるんだ。たまたま
通った街でこれ、見つけたからさ」





"見た途端、お前に似合いそうだなって"








ぎゅっと、心が締め付けられる音がした。

慣れない手つきでこちらに差し出されたのは、
白を基調としたシンプルな花の簪。









「ーーーAは髪が真っ黒だもんネ。
きっと白がよく映える」

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