【銀魂】困惑必須の受愛物語

いつから、 ページ21

ーー最近、こうして一人の時間をもらうたびに考えてしまう。

私は、団長のことをどう思っているのか。
毎度毎度答えなど出なくて。謎は深まるばかり。





ふらふらと街を歩いていれば、平和な地球に
毒されて、気持ちまで楽観的になりそうだ。

心地よい風も、時たますれ違う人々も、
聞こえる鳥の鳴き声も。新鮮で物珍しくて。


こんなところにいると、・・もう気難しく考えるのが嫌になってくる。全部テキトーに放り出して
永遠に続く並木道を、一人でぼんやり歩いていたい


そんな願いが密かに叶ったのか、
ーー目の前には、木々で両端を挟まれた道。

以前真っ白だったそこは、









「・・・すごい、」





パッと吹いた強い風に、ゆさゆさと揺れる
木々たちは、ーーみんな、色とりどりの帽子を被り

散りゆく落ち葉たちは、地面をも、その色々で
染めてしまっていた。




手形にも似たその葉は、確か、紅葉、と
言うんだっけ。一度本で読んだことがある。

緑だった木々たちは、"秋"になると、赤黄オレンジ
様々な色に姿を変えて、人の前に現れる。




ーーーふと、緩やかに弧を描きながら
ゆらゆらと私の目の前に落ちてきた手形が見えた。

思わず手を出せば、・・音も立てずに、そっと、
掌の中に収まった。






「紅葉、か」




手にとってみれば、案外薄くて柔らかかった。
太陽にかざせば、紅葉を通して、光が私に降り注ぐ


ーーーあぁ、なんだか、






「団長みたい」





オレンジ色の紅葉は、枝から離れ、風にのって
これから好きな場所へ飛んでいくのだろう。

気まぐれで、厄介。ーーそれでいて、
あの目立つオレンジには目が惹きつけられるのだ。






「・・なるほど、」




せっかく一人で観光する時間をもらったってのに、
結局私は団長のことを浮かべてるわけか。

こうして紅葉を見ていたら、ふと頭をよぎるなんて
ーーあいつは、私の脳の片隅にいつもいるんだ。



苦笑が漏れた。やはり、地球の平和ボケにやられて
しまったみたいだ。今までずっとずっと認めたくないと意地はっていたことを、こうもあっさり・・、







「・・いつからなんだろうなぁ」




もっと言えば、どこのタイミングで？

あんなに大嫌いだった奴を好きになった。
苦手な血の臭いさえ気にならなくなるほどには。





手の中で燃えるオレンジ。空よりも深くて青い瞳。

ーーーよく考えてみれば、自然の色を兼ね備えた
あの派手な容姿は、少しばかり、
見ていて楽しかった。

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