楽しい ページ25
昼間でも賑わいを見せる吉原には、
以前と変わらぬ色香が漂っていて。
しきりに、迷い込んだ男を誘っている。
「お兄さん、ちょいとよってってくんな」
例のごとく、若い青年である神威も対象で。
横に歩く私などには目もくれず、
遊女はそいつの腕に自らのそれを絡めるのだ
ここで、一応恋仲なんてものを紡ぐ私は
一つ抗議をしてもいいくらいなのだが、
「・・悪いネ。お前に興味がわかない」
その度に、即座にこんな言葉を吐くそいつに
抗議の声もあげる必要はないだろう。
「それって、私にしか興味ないってことね」
「勝手な深読みはやめてくれるかな」
以前よりもさらに自由を増した吉原だが、
・・・どうやらマニアックな店も
増えてしまったらしい
見慣れないフレーズを掲げた看板を
見たり見なかったり。
「ーーみんな、楽しそうに働いてんじゃん」
何より何より、と頷きを入れる。
・・やはり、自由とは良きかな。
きっと日が暮れれば、町はライトアップされ
今よりもっと凄まじい賑わいを見せるんだろう
そんな想像に、自然と口元が緩む私。
(ーーどっちかといえば、憎んでたのに)
いつの間にか、ここまで普通にこの街を
歩くことができるようになった。
吉原から出たいと、その一心で神威の後を
ついて行った私が。
ーーーその理由というのは多分、・・そいつが
いたことにある。
振り返ったそこに、私より数歩後を歩く
神威の姿が見えた。
無感情な笑みをこちらにむけて、口角を上げて
微笑んでいる。
ーーーが、・・これまで一ヶ月見てきた私には
一つ感じた違和感があった。
「ど、したの？」
その表情に見て取れたのは、"迷い"なんて
不確かなものだったのかもしれない。
・・いやもしくは、悲しみか。
どっちにせよ、そいつらしくないものであるのは間違いないのである。
私が訝しげな視線をそいつに送り始めた時
「ーーーーAは、今楽しい？」
そんな静かな質問が、私に投げかけられた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 142人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シュシュ☆☆(プロフ) - 槊さん» ありがとうございます！最後まで目を通していただけて嬉しいです！新作の方も盛り上げていきますので、お時間ありましたらお願いいたします！ (2016年11月9日 22時) (
レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
槊(プロフ) - 完結おめでとうございます！ちょっと遅れましたが、久々の神威…ごちそうさまでしt((新作も出来てる様なので、そちらも覗きに行ってきます(*・∀・*)ノ (2016年11月9日 8時) (レス) id: e0258c611f (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - 紫蘭さん» ありがとうございます！原作やアニメと比べてキャラ崩れが心配だったので、そう言っていただけると嬉しいです！ (2016年11月7日 23時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
シュシュ☆☆(プロフ) - ミミさん» ありがとうございます！嬉しいです！楽しんでいただけていれば幸いです！ (2016年11月7日 23時) (レス) id: 61b42241f1 (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - 完結おめでとうございます！ シュシュさんの作品のキャラ逹が凄くって、まるでアニメを見ているかのような気分に毎回なってます！ 新作、頑張って下さい！ (2016年11月7日 23時) (レス) id: 1847792d84 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：シュシュ
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年10月30日 20時
