山内君と冬川君[小話] ページ13
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忘れ物をしたお陰で、僕は教室まで慌てて走っていた。
ぱたぱたと言う音をさせながら、教室がある四階へ向かう。
三階を上がった辺りで、何やら大声が聞こえ、同時に、反対側を走っていく春沢君の姿が見えた。
何事かと思うも、今はそれを後にして教室へ向かった。
「あれ、冬川君?」
教室に入ると、冬川君が呆然としたまま立っていた。
僕が教室に入ってくるのが分かると、目をはっとさせて、イケメンスマイルで挨拶をされた。
「どうしたの? こんなところで」
「嗚呼、いや……」
口許に手を添え、言葉を濁す、その表情は何処か嬉しそうだ。
僕は首を傾げれば、椅子に座って自分の机を漁った。
「朝陽こそ、どうして教室に?」
「えっと、ちょっと、忘れ物して」
名前を呼ばれ相手の方を見て、はにかみながら笑った。
僕なんかを呼び捨てにするのは冬川君位、なので名前を呼ばれると一寸びっくりしてしまう。
忘れ物と言うのは、新しく買ったBL本だ。
しっかりとカバーをかけてあるので、回りにはバレていない、筈。
かさっ、と何かに当たった音がすればそれを取り出した。
よかった。
目当てのものがみつかり、ほっと息をつけば、僕は立ち上がった。
ちらりと横を見れば、冬川君が何か言いたげに口をモゴモゴとさせているので、どうしたの? と尋ねる。
すると冬川君は頭を掻きながら、少し恥ずかしそうに言った。
「男のこと、可愛いって思うのは、変か?」
僕は叫んだ。
勿論心の中で。
それって、そそそ、それって、そう言うことでいいの??
僕は直ぐ様
「変じゃない、むしろ普通だよ」
と、首がとれるかと思うくらい縦に振った。
冬川君は顔を背け、そうか、と呟く。
「じゃあ、僕はこれで」
そう言って小さく礼をすれば、冬川君は
「ありがとな朝陽、また明日」
と、微笑んだ。
僕はふふふ、と、思わず声に出して笑ってしまった。
しょうがない、こればかりはしょうがない。
冬川君応援してるよ、と、心のうちで言えば、足取り軽やかに階段を降りて行った。
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りんご(プロフ) - 誤字ごめんなさいw (2019年10月28日 20時) (
レス) id: 92785b223f (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 腐男子視点の小説はあまり見ない方でしたが、少しもどかしい感じも含めて、とても面白がったし、いいお話だなと思いました！これからも頑張ってください！！ (2019年10月28日 20時) (レス) id: 92785b223f (このIDを非表示/違反報告)
群青色の五月雨(プロフ) - 薄氷さん» コメント二度もありがとうございます！！ やっと完結しました。ここまで見てくださりありがとうございました。誉めてもらえて嬉しい限りです。薄氷さんも小説頑張ってください！応援してます。 (2018年1月5日 16時) (レス) id: 227c123589 (このIDを非表示/違反報告)
薄氷(プロフ) - 完結おめでとうございます！！最後の最後まで面白くて、萌えが凄くて、素晴らしかったです、語彙力がなくてすみません。絵も楽しみにしています、完結、お疲れ様でした。 (2017年12月23日 14時) (レス) id: 6feeadb499 (このIDを非表示/違反報告)
群青色の五月雨(プロフ) - 真城双葉さん» 読みにくい小説ですが、読んでいただけらなら嬉しいです。コメントありがとうございました。 (2017年12月10日 2時) (レス) id: 227c123589 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：群青色の五月雨 | 作成日時：2017年5月28日 15時
