37 アイス ページ46
瀬見side
Aんちからの帰り道、改めて振られたんだと自覚して、涙が出そうになる。
まあ、分かってたことだ。
これからもいつも通りでいたいって言ってくれたのは、ちょっと嬉しかった。
気まずくなって避けられたりする方が辛い。
俺はアイスでも買って帰ろうと、近くのコンビニに寄る。
そして、今一番会いたくない奴と遭遇。
世の中そういう風に出来てんだよなー
｢よう、白布｣
｢瀬見さん、お疲れ様です。どこか行かれてたんですか？｣
｢ああ、ちょっとAんちにな｣
白布の顔が、一瞬だけ強ばったのが分かる。
もう早く素直になって、Aの気持ちに応えてやってほしいと、思ってしまう。
｢勉強教えに行っただけだ｣
｢そうですか｣
｢で、Aに告った｣
見たことないくらい目を見開く白布。それはどこか焦っているようにも見えた。
｢安心しろ、しっかり振られてきた｣
｢安心も何も、俺はべつに｣
ほんっと、かあいくねぇ…
｢言っとくけど、俺は諦めたわけじゃないからな。お前がいつまでも自分の気持ちから逃げて、あいつ泣かせてんなら、もう遠慮しない｣
俺がそう言うと、白布は何かを決断したような、そんな表情に変わる。
｢……俺は、Aが好きです｣
｢うん｣
｢今、やっと自分の気持ちに整理がつきました。もう逃げません｣
その力強い瞳を見て、なぜか俺は安心する。
｢そっか。よし、アイス奢ってやるよ。好きなの選んでいいぞ｣
｢ダッツでもいいんですか？｣
｢……いいよ｣
｢冗談ですよ｣
ずっと自分の中で完結させてた想いを伝えたことで、少しは心が軽くなった気がする。
もちろん、簡単には諦められないけど、やっぱり好き奴が幸せなら、俺は嬉しい。
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作者名：Blue Leaf x他2人 | 作成日時：2017年1月28日 9時
