【ハイキュー！！】白布と付き合うまでの話。【白鳥沢】 (ページ45)

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36 想いページ45

｢俺じゃ、ダメ…？｣

静寂の中、セミセミさんの少し震えた声が、私の耳に入ってくる。
その言葉が脳まで伝達されても、すぐにはその意味が理解できなかった。

『え』

｢ごめん、俺、Aが好きだ｣

時間が止まった気がした。
泣きそうな顔で、必死に笑顔を作っているセミセミさんを見て、とてつもなく、胸が傷んだ。

私は、この、どうしようもないくらい優しい人を、一体どれだけ傷つけていたのだろうか。

セミセミさんの気持ちも知らずに、恋愛相談ばっかして、自分のことしか考えず、セミセミさんの好きな人のこといろいろ聞いて、無責任なこと言って。

｢好きになって、ごめん｣

こんなにも私を大切に思ってくれている人を、私を好きでいることで、謝らせてしまった。

『どうして、謝るんですか』

｢だって｣

『前に、私言ったじゃないですか。セミセミさんに好きになってもらった人幸せですねって。私、めちゃくちゃ嬉しいです』

私はこれから、優しくて、私を大切に思ってくれている人を、もっと傷つける。

『だけど、他に好きな人がいます』

｢…うん、知ってる｣

『その人のことはやっぱりまだ好きで、でも、セミセミさんも私にとって大切です。だからこれからも、今までみたいに一緒に帰ったり、話したりしたいです。わがままかもしれないけど』

残酷なことを言っているのは自覚している。自分が同じ立場だったら、そんなの辛い。

『好きになってくれて、ありがとうございます』

涙が止まらなかった。今私が泣くのは違うって、分かってるのに。

｢俺も、今まで通りがいい。俺の方こそこそありがとな。断るの、辛かっただろ｣

なんでこんな時までそういうこと言うん…
優しくて、強い人だと思った。

｢それじゃ、そろそろ俺帰るわ。明日、頑張れよ｣

『はい！頑張ります、赤点回避！』

そして、セミセミさんを玄関先まで見送り、翌日、テストとかいう難関を迎えることとなる。