【ハイキュー！！】白布と付き合うまでの話。【白鳥沢】 (ページ23)

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19　好きな人ページ23

ゴトンッと出てきた飲み物。俺はお茶。ファンタをAに渡し、再びベンチに座る。

『ありがとうございます』

「おう。……あのさ、今日、楽し…くはなかったよなぁ」

楽しかったか、と聞こうとして、続きを飲み込んだ。こいつにとっては好きな奴が他の女とデートしているところを見ているのだ。楽しいはずがない。

『え、楽しかったですけど！太一は帰っちゃいましたけどね』

「そっか。あ、川西から伝言あったわ。明日アメリカンドッグ奢りで許せってさ」

『許す』

ちょろいな。まあ多分、こいつは最初から怒ってねえからな。そういう奴だし。
にしても今日は暑い。黙ってても汗が額からにじみ出てくる。俺はゴクンと喉を鳴らし、お茶を一口飲む。

「っはあー！あちーな、今日は」

『セミセミさんは好きな人とかいるんですか』

「はっ！？」

びっくりしてAの方を見てみると、いつになく真剣であった。いつも白布のことしか語らないこいつがこの手の質問をしてくるのは初めてなのである。

「どうしたんだ？急に」

『いや、なんか、なんとなく…』

ああこれは。いつもはポジティブなんだ、こいつは。だから振られてもアタックしまくってるし若利の弟子になったりしていた。でも今日、神無月さんと白布のデートを見て気づいちまったんだ。
『嫉妬』という感情に。
今までは感じていてもこいつの性格上気づいていなかったかスルーしてたかのどちらかだろう。

神無月さんといた時、白布は時折微笑んだような顔を見せていた。そんな白布を見て、気づいてしまったのかもしれない。こいつの入部のきっかけともなったあの笑顔を、他の女にたやすく見せてるんだから。
その時のAの顔が一瞬切なそうになったのも、俺は知っている。俺はこいつを見ていたから。

「好きな奴、か。…いるよ」

『おお！？マジすか誰ですか！私が知ってる人ですか！！！』

うわあ俺のさっきのシリアスモード返せってくらい食いついてきた。ったく、人の気も知らないで。