炎柱の有能妻。

噂の有能妻。 ページ8

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「お前の嫁、随分噂になってるぜ」





夜も明けきれない時刻の任務帰り。


真っ直ぐに屋敷へと向かっていた杏寿郎は、

途中遭遇した天元に連行され、
実弥、小芭内と共に風柱邸で飲むことになった。


一刻も早くAの元へ帰りたい杏寿郎だが


柱達との付き合いも大事にするようにと
　

日頃からAに言われている事を思い出す。





「噂？」


「すげー美人で気が利いておまけに強い」


「あぁ…あいつは確かにイイなァ」


「お、不死川も煉獄嫁と任務行ったのか？」


「毎回専属に出来ないかねェ」


「やはりそういうことか不死川…！！」





ワナワナと身体を震わせた杏寿郎を、赤い闘気が纏う。

そしてそのまま刀を引き抜いた。





「Aは誰にも渡さない…！！」


「おいおい何だ！？派手じゃねぇかよしやれ！！」


「落ち着け煉獄。宇髄、お前も煽るな」


「いい度胸じゃねぇかァオイ…！」


「……ハァ」





もう放っておこう。

小芭内は鏑丸と共に酒を煽った。


そこから杏寿郎と実弥の斬り合い…手合わせが始まり、天元が楽しそうにそれをつまみに酒を煽るという

何とも不思議な構図が出来上がる。


結局落ち着いたのは夜が明けた頃だった。



キリのいいところで刀を鞘に収めた杏寿郎は、

これで失礼する！と爽やかに姿を消した。



残された三人は、並んで酒を呑みながら

それぞれ溜息をついた。





「…あの煉獄が、あそこまで惚れ込む女ねぇ…」


「あれが嫁なら悪くねェ」


「お前もかよ！？いいねぇ会ってみたいもんだねぇ、Aチャン」


「…腑抜けた炎柱など俺は認めない」









「帰ったぞA！」


「はーい、…おかえり、杏寿……ろう？」





Aは首を傾げた。


風柱邸で飲むと鴉から連絡があったのだが

間違いだったのだろうか。


目の前に立つ杏寿郎は、泥だらけ傷だらけ。


任務終わりでもこれほどまでの状態はなかなか見ない。





「…何事？」


「Aは俺のものだと証明できたぞ！」


「…うん？……うん、…そっか」


「褒めて欲しい！！」





がばっと頭を下げた杏寿郎。


再び首を傾げたAだが、すぐに気付く。

撫でろということか。





「よしよし、お疲れ様。お風呂沸いてるよ」


「こんなに汚れていては君を抱きしめられないからな！行ってくる！」





急いで掛けて行った杏寿郎に、

子どもみたいだと、小さく笑った。





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