微睡み。 ページ7
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Aが目を覚ましたのは、正午過ぎだった。
ゆっくりと目を開けたAは、
背中に感じる熱に視線を向けた。
結局、気を失うほど抱かれてしまった。
「…幸せそうに寝ちゃって」
ぎゅ、と鼻をつまむ。
次第に眉を寄せていく杏寿郎に、Aは笑いを堪える。
「ん……ん、ん…?ぐっ」
「ふっ…ふふ…!」
「くっ…くるひいほ!」
「あははっ…おはよう、杏寿郎」
「おはようA!今日も愛いな!好きだ!」
「うん、私の鼓膜が死んだよ」
ぎゅうっと強く抱きしめながら、すまん!と声を上げる杏寿郎。
こうして幸せそうな杏寿郎を見ると、
Aは全てを許してしまうのだ。
愛おしそうにAの髪を掬った杏寿郎は、
その髪にそっと口付けた。
「幸せな朝だ!」
「もうお昼すぎてるよ。お腹空かない?」
「む!そういえば空いているな!」
「すぐ作るね、腕離してくれる?」
「…もう少しこのままがいい」
Aを抱きしめたまま、その背中に擦り寄る。
びくっと背を震わせたAに、
杏寿郎はニヤリと笑った。
背を向けているため表情こそ見えないが
こうやって甘えると大抵の事は目を瞑ってくれる。
そんなAも、愛しくてたまらないのだ。
「……好きだ、A」
「んっ……こら、」
「チュ……綺麗な身体だ。…俺だけが触れられる…」
「ちょっ…と…!」
「……A、したい」
「だ!!め!!」
ぎゅっと杏寿郎の腕をつねったAは、
力が緩んだのを見計らって脱出する。
全く、油断も隙もない。
危うく一日中布団で過ごす事になるところだった。
「もう!起きて鍛錬でもしてきたら!」
「むぅ……そうするか!」
「今日の任務も風柱様となのに……支障が出たらどうしてくれるのよ」
不満そうにそう漏らしたAに、
杏寿郎ががばっと身体を起こした。
「また不死川との任務なのか」
「そう、続けてなんて珍しいよね」
「…よもや意図的にではあるまいな」
「私が選ぶ立場にいるわけじゃないから、それはどうだろう」
「不死川が君との任務になるよう取り計らってもらっているのだ!!」
そうに違いないと、
それはもう恐ろしい形相で立ち上がった。
お館様に直談判しに行く!と何やら燃えている杏寿郎を呼び止める。
「とりあえず服着ようか」
「……よもやよもやだ!」
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香澄 - とっても面白いです!!今日の朝は電車で笑いを堪えながら見ていました笑。更新頑張ってくださいね! (2月19日 21時) (レス) @page8 id: 130dd00968 (このIDを非表示/違反報告)
ユリア(プロフ) - RUNAさん» コメントありがとうございます、分かりにくくてすみません、わざと火の表記にしています。日の呼吸について詳しく明かされていない状態での会話になるので…… (7月22日 14時) (レス) @page22 id: bb66615edf (このIDを非表示/違反報告)
RUNA(プロフ) - 失礼かとも思うんですが、火の呼吸じゃなく日の呼吸ですよ! (6月19日 22時) (レス) @page22 id: 391b329446 (このIDを非表示/違反報告)
夕 - 何度も続けてのコメントですみません。 物語読んでいて気が付いたのですが。。。 番外編.有能妻の日常のここの部分 待っていろ!と掛けて行った。 これ正しくは駆けて行ったではないんでしょうか? (2021年11月2日 1時) (レス) @page34 id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
夕 - またまた続けてのコメントですみません。。。 物語一気に読んじゃいました。 この物語では煉獄さん生き延びることが出来て良かった です。。。 その後のお二人のことが気になります。 (2021年11月2日 1時) (レス) @page33 id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユリア | 作成日時:2021年2月13日 23時