第71話 ページ31
――天祥院英智 視点――
「……ん、んぅ、」
久しぶりに学園に来たんだけれども、
目眩がしてガーデンスペースのベンチに倒れたはずだ。
だが、僕は木陰で誰かのジャケットを掛けられながら
寝ていたようだった。
『あ、起きました？』
「ｯ!キミは、」
『えっと、突然すみません。僕は1年の乙葉ユキです
さっきたまたま通りかかった時に貴方が倒れていた
ので、ここまで運ばせてもらいました。』
「そうなんだね、どうもありがとう。
僕は2年、天祥院英智だよ。、
苗字で呼ばれるのはあまり好きでは無いから、
良かったら下の名前で呼んでくれると嬉しいな。」
『わかりました。英智先輩、
僕も自由に呼んでください。』「わかったよ。」
まさか、乙葉くんに助けてもらえるなんて…。
『これ、水買ってきたんですけど…飲めますか？』
「うん。ありがとう。」
君のことはよく知っていた。あの"氷上の王子様"と
呼ばれ、フィギュアスケート界に旋風を巻き起こし
日々樹くんとも仲がいいと言われる子だ。
僕は1度、乙葉くんが出るコンクールを見たことが
あるが、その表現力と美しさには
圧巻されたのをよく覚えている。
「(あぁ、僕の白雪姫…早く手に入れたいよ。)」
『その、体調は大丈夫なんですか？』
「元々、病弱でね……、でも今は君のお陰もあって
英智くんゲージも戻ってきたから大丈夫だよ。」
『そうですか…良かったぁ…。』
「心配をかけてしまってごめんね。あとこれ
ジャケットも掛けてもらってありがとう。」
『全然大丈夫ですよ。ってやばい、
イズミから電話来てた…戻らないと……、
英智先輩、本当に大丈夫なんですか、』
「うん。本当に体調は戻ったから大丈夫だよ。
ほら、待たせている人がいるなら早く行った方がいい」
『それじゃあ、失礼します。』
確か乙葉くんは【バックギャモン】
に所属していたんだっけ…まぁ僕としては
この【計画】が全て終わった上で乙葉くんを
迎えに行くつもりだから、今はそこまでどこのユニット
に所属してても関係がないだろう。
最後は必ず、白雪姫と皇子さまは結ばれる
結末になるからね……、
「待っててね……僕の白雪姫。」
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作者名：くま吉 | 作成日時：2024年2月28日 22時
