ジャンヌ 【文豪ストレイドッグス】

Jeanne19. ページ19

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倒れ込む太宰さんを人虎が支えて、
必死に呼びかけていた。

すぐに人虎は私に向き直り私を睨みつける。



太宰さんが、去ってしまったあの日

私は追いかけたらよかったのに
それが出来なかった


環境が、周りの人間が私に美を求めた。
だから私は委ねた。

それを夜明けに目覚める男達が、
そんな私を美しいと褒め称えるの。








「___好きだって、助けてって言ったら…
太宰さんにそんな事言ったら、

この人は色んなものを犠牲にして
私のことを迎えにくる

この人はそういう人だから
だから私は素直になれない」








美しさを私と例えないで
自己満足のためだけに私を
生かしておかないで









「____ジャンヌ」








悲しそうな顔で私を目に映す人虎__中島敦

その瞳に映る私は、残酷で、皮肉なくらい美しい。







「Aよ。Aって、そう呼んで。」









ジャンヌ スワン

優雅な 白鳥

優雅なんて、そんなこと無いのに。



名前さえも私の事、褒めるのね



+








「____ねぇ、敦くん」









Aは唇を震わせて目にいっぱいの
涙を貯めていた。









「___私達、きっと良いお友達になれたよね」









"こんな関係じゃなかったら"









Aの目の雫が落ちて行くことを躊躇していた。
覚悟を決めた彼女の分身達が、
頬を伝って顎の先で飛び降り、死んでいく。






___濡れるヴァイオレット。
_____水浸しのアメジスト。







「…君を必ず救い出すよ」







君の宝石を濡らさずに奪いたい。



__きっと太宰さん以外に魅せた初めての涙。

彼女は鼻で笑った。




「無理___。」




そう言って設計されたような神秘的な微笑を漏らす。






「Aちゃん…ｯ」







泡のように今にも消えそうな君を掴もうと手を伸ばした。


視界がぼやける。



嗚呼、僕も君に酔っている。









「_____羅生門」

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