Jeanne38. ページ41
+
「______誰?」
一瞬だけ曇りガラスのドアに人影が見えた気がした。
___心と静まり返っている。
見張りは脱衣所の外で待機しているはずだから、
こちらに何かない限り入る事は絶対に、ない。
Aは薔薇の花弁が浮かぶ湯船を出て
バスタオルを手に取った。
風呂のドアノブに手をかけて、開ける。
脱衣場と部屋を繋ぐドアの隙間から
真っ赤な血が漏れてきている。
幼少期によく嗅いでいた匂い。
あの頃は平気だったのに、今は口元を抑えてしまう。
足の爪先に、生暖かい液体が触れた。
____中也さん、
私の全ての感覚が危険だと訴え、
最も頼れる人の顔が浮かんだ。
私の部屋に侵入すれば、必ず首領に伝わる。
今頃、誰かが此処へ向かってきているはず。
右手に拳銃、左手はバスタオルで体を隠して
___Aはドアを開けた。
「…ッ」
見張りの人間は三人いた。
____が、全員抹殺され案の定当たりは血の海。
倒れた彼らの血を踏み、壁に背中を合わせる。
湯冷めした体が冷えて鳥肌が立っている。
自分も一応マフィアの1員だ。
守られているばかりでは、駄目なのだ。
__それは、あの太宰さんが私に教えた事。
「…ッ、」
目眩がする。こんな時でさえ、香りがキツくなる。
裸になれば私は香りに酔うのだ。
__敵の呼吸すら聞こえない。
これじゃあ数も分からない。
____中也さん、
Aの緊張がピークに達し、目が泳ぎ、喉が渇く。
濡れた体も乾き始め、香りが濃くなっていく。
襲撃は初めての事で、狙われる事はあっても
マフィアの拠点に直接手を打つ組織は今迄に1度も
いなかった。
だから彼女は焦る。
___身の程知らずの襲撃ではない、と
断言出来るからだ。
「___女の子がそんな物騒なもの
持ってちゃ危ないよ?」
意識が敏感になったその時。
耳元で、怪しい声が囁かれた。
全身が強張り、奥歯がカチリとなる。
Aは声のした方へ勢いよく振り返る。
「___サラの鏡!!」
異能力名を咄嗟に叫び、鏡の国へ誘う。
鏡に囲まれた世界で、対象の精神は狂う。
__10分の間持たせれば。必ず誰かが来る。
「へぇ〜これが君の異能力か
気味が悪いね」
紺色の繋に茶色の帽子。金髪が目立つ青年。
もう1人は長い黒髪を垂らした陰気な男だった。
Jeanne39.→←Jeanne black swan.3
604人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
奥山乃愛(プロフ) - 初コメ失礼します!私、逆ハー大好きなんで嬉しいです!無理せずに頑張ってくださいね! (2023年3月5日 19時) (レス) id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
初季(プロフ) - ちっぽけさん» あああああフラグ立っちゃたんですか(震え声)了解です!笑 (2018年3月1日 4時) (レス) id: 6dc40941cf (このIDを非表示/違反報告)
ちっぽけ(プロフ) - 初季さん» 最初はこの作品、フラグなしだったんですけどフラグがたってしまって…その時に頑張って回避しようとしてた言葉ですね笑 そうです、その言葉であってます汗 (2018年3月1日 1時) (レス) id: c64884f1ed (このIDを非表示/違反報告)
ちっぽけ(プロフ) - ショコラさん» ありがとうございます!(><) (2018年3月1日 1時) (レス) id: c64884f1ed (このIDを非表示/違反報告)
初季(プロフ) - こびぐすりとはび やくのことでしょうか…?フラグ防止でわざとだったらごめんなさい(><)面白くて大好きです!これからも頑張ってください! (2018年2月26日 0時) (レス) id: 6dc40941cf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちっぽけ | 作成日時:2018年1月17日 0時