【短編集】やる気は無いけど欲はある【そらる】

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そらるside



「…えっ、言ったのそっちでしょ？」



「い、いやそうだけど…さ」



先程ゲームが終わって10分程



まだぼーっと棒立ちのA



「他のに、変えませんか？」



「嫌です」



「…ですよねぇ」



目の前で困った様に顔を赤くして俺を時折ちらちらと見るA



…かわいいなぁ



「ほらほら、早く早く」



そう言うと渋々、と言った感じで胡座(あぐら)をかいて座っていた俺の肩に手をついて胸元に手を伸ばす



「…ちょっと、目線外して貰っていいですか」



じっと見つめていたのはおずおず俺の胸元に腕を回す姿が可愛くて



「…かわいいね」



「っ…」



それ言うと一瞬強く抱きしめられて唇に何かが触れる感覚



「はい！終わり！」



「え」



「抱きついてキスもしました！はい！」



俺がぼーっとしている間に諸々の事を済ませてさっと俺の膝から退こうとするA



「…え、待ってよ」



「ん？」



驚くほど早いスピードで立ち上がったAのパーカーの裾を掴んでそう言う



「足りなくない？」



浅い、浅すぎる



もっと深いので照れてる顔が見たかったのに、足りない



「もう、終わったじゃん」



そう早く離してくれと言わんばかりに手をぐいぐいと押して引き剥がそうとするA



そんなAを俺は見つめながら立ち上がって壁際に追い詰める



「あんな幼稚園児みたいなキスで良いと思ったの？」



「…う」



そう言うとばつが悪そうに言葉を詰まらせるA



そんなAの耳元に口を近づけて息を吸う



「俺らは、大人でしょ？」



「…っひ」



その言葉の後にびくと肩を震わせるAに口角が上がる



あぁ、今日の大人の夜が楽しみだ



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