【短編集】やる気は無いけど欲はある【そらる】

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そらるside



「…うらたくん？」



欠伸を噛み殺して待ち合わせ場所をちらりと見ると小さめの身体の男性



「最近買ったんですよー！」そう言って見せてくれた洋服だからまぁうらたくんだろう



「…………好きなんですよ……」



元気でよく通る高めの声がそう聞こえる



「…好き？」



いやまてまぁ話の流れからそうなる事もあるだろうなぁ



そこまで気にもせず、Aの方に歩いていくとピンク色の紙袋を笑顔で手渡して立ち去るうらたくんを見送るA



「…？」



何を、あげたのだろうか



微かな疑惑というかもやっとした気分のまま、【名前)に近づく



「…A」



そういつもより低めの自分の声を出して、ベンチに座るとAを呼ぶ



そうすると、気づいたように俺を見て笑う



「さっき、うらたさんに会ったんだよねー」



ぱっと立ち上がると同時にそう言うA



「なんか、あげてたよね」



「あっ、見てた？」



そう言うと、甘くて食べれなかったクッキーあげてたんだよねーと笑うA



「俺にはないの？クッキー」



「ないね」



「…あっそう」



少し期待を持った俺が馬鹿でした、はい



でもなんだか甘いものの話をしていたらそういうものが食べたくなってきた



「俺も甘いもの食べたいな」



「おっ、じゃあケーキでも…」



「じゃなくて、さ」



そう言ってケーキ店を携帯で調べだすAの顎を掬って唇を重ねる



「甘いもの、こっちでいいよ」



ぱくぱくと口を動かしたまま顔を赤くしながらフリーズするA



可愛いと思うと同時に



夜が楽しみになった



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