検索窓
今日:8 hit、昨日:4 hit、合計:5,336 hit

薄れ、変わっていく記憶 常守視点 ページ32

────────元の世界。

「常守監視官、最近何だか違和感ありませんか?」

六合塚さんの言葉で、私は「やっぱりそう思う?」と逆に聞く。

「“何か物足りない”気がするんですよね……」

「自分も同じです」

椅子に座っていた須郷さんが椅子を回転させて私の方を向く。いつからか、何らかの違和感を感じ取るようになったのだが、それが何か分からない。

「霜月監視官に話してみたことあったけど、“気の所為なんじゃないですか”ってあしらわれちゃって……。四係の土岐園監視官も同じ事言ってたの」

「物足りないと言えば、うちにいつ“新しい執行官”が入るんですかね」

須郷さんが空いている席を静かに見つめ、六合塚さんが「もう少し先になりそうね」と返す。

(執行官……)

「にしても、まさか今回の鹿矛囲の事件であの二人が“いなくなってしまう”なんて……」

「つい最近まで一緒にいたようにも感じて仕方ないんですけど、あの二人はもういないんですね」

六合塚さんの言いたいことは分からなくはない。
私も同じだからだ。きっと須郷さんも……。

「だとしても、この違和感は何なんでしょうね。単に、あの二人がいなくなってしまったのが理由なのか……自分の思い過ごしでしょうか」

「ううん。私も同じ事考えてた」

そんな時、霜月監視官が入ってきて「何辛気臭い顔してるんですか」と言ってくる。

「人数が少なくなった分、やる仕事が増えるんですから。“宜野座執行官と雛河執行官”の分の穴埋めもしないといけないし」

「うん。そうだね。じゃあ、仕事に取り掛かろうか」

現状、一係には執行官が六合塚さんと須郷さんの二人しかいない。宜野座さんと雛河君は鹿矛囲の事件解決の最中に事故で……。

(いや、事故?何の事故だっけ。この間まで普通に話してた気がするけど、いつの記憶なんだろう)


この時の私達は、自分達の記憶から大事な記憶が徐々に消え、改変されている事にまだ気付いていなかった。それはきっと、理屈で説明出来る現象では無い。だからこそ余計に、その事実を信じられないのだろう。

対面→←正義漢 狡噛視点



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (13 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
10人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

イマツギ(プロフ) - 続きが楽しみです。お時間があれば更新頑張ってください! (2022年3月12日 12時) (レス) @page34 id: f5ff06f155 (このIDを非表示/違反報告)
- 面白い!更新頑張って下さい! (2020年4月10日 13時) (レス) id: ceacd95bed (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2016年2月6日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。