正義漢 狡噛視点 ページ31
────────同時刻、イケブクロでは。
「兄ちゃん!」
事務所のドアを勢いよく開けて入って来たのは二郎。一郎が「そんな慌ててどうした」と聞くと、二郎が「実は……」と話し出す。
二郎は先程まで別の依頼で出掛けていたのだが、どうやら情報屋をやっている友人からある噂を聞かされたらしい。
「“クスリ”?」
「うん。どうやら最近、イケブクロ・ディビジョンで出回り始めてるって噂が流れてるみたいで……。実際はどうなのかまだ分からないけど、どちらにせよいい噂じゃないのは確かだし、念の為伝えておこうかなって」
「不確かな情報を伝えられても兄ちゃんが困るだろ!」
「だから念の為って言ってんだろ!兄ちゃんなら大丈夫だろうけど、知らないうちに飲まされるかもしんねーだろ!特にお前とか!」
「僕はどっかの誰かみたいに知らない人からもらったものをほいほい口にしません〜」
「あんだと!?俺だってなぁ……!」
何時もの口喧嘩が始まりそうになり、一郎が「お前等、喧嘩すんな!」と仲裁に入る。
居候し始めてからこの流れは何回か目にしてきたので俺も慣れてしまった。
(相変わらず喧嘩する程仲がいいな。本人達に言ったら、また喧嘩しそうだから言わないが)
「取り敢えず、言いたいことは分かった。クスリがあるにせよ、ないにせよ、イケブクロ・ディビジョンでそんな噂流れちまうと少し気になるな」
「一兄……」
「無かったらないが一番良いが、噂を真に受けた悪ガキ共が悪さするかもしんねぇし、情報をもう少し集めて真実を突き止めるしかねぇ。兎に角、お前等も気を付けろ」
「突き止めるって……自分達でか?」
俺の問いに一郎は「あぁ。勿論だ」と直ぐに返事をする。
「お前達が依頼をこなす為に、ヤクザチンピラ相手に怯まず突っ込んで行くのは知ってるが、こういうのは警察に任せるもんじゃないのか?」
「本来ならそうかもしれねぇな。けど、先程も言ってたように不確かな情報だから、警察が動いてくれる保証はないし、何より……俺達の住む街だ。イケブクロ・ディビジョン代表のBuster Bros!!!兼萬屋山田としては見過ごせねぇ」
一般人なら、自分の身の安全を考えて面倒事を避けるだろうが、コイツらの場合は元刑事の俺でも呆れるぐらい潔くて正義漢だ。幾ら正義感が強くても、一見したら無謀だろう。だが、俺はコイツらのそういうとこは嫌いじゃない。
「なら、俺も手伝おう」
だから、手を貸したくなる。
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イマツギ(プロフ) - 続きが楽しみです。お時間があれば更新頑張ってください! (2022年3月12日 12時) (レス) @page34 id: f5ff06f155 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - 面白い!更新頑張って下さい! (2020年4月10日 13時) (レス) id: ceacd95bed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遙 | 作成日時:2016年2月6日 20時