聞きなれた声 宜野座視点 ページ30
────────伊弉冉、観音坂の家にて。
「ギノっち、今日は独歩ちんのカウンセリングついでにセンセーんとこに挨拶行くんでしょ？」
「あぁ。お前達とも知り合った事も一応報告すべきかと思ってな。それに、短時間とはいえ世話になったのは間違いないし、直接話がしたくてな」
「じゃあ、そろそろ時間だから俺達は行くぞ。一二三」
「いってらー」
観音坂と一緒に神宮寺医師のいる病院に向かう。
こちらでは、神宮寺医師はどうやら名の知れた医師らしく、人柄も腕も申し分ないという。
伊弉冉と観音坂も度々世話になっているようで、神宮寺医師に誘われ、“麻天狼”という名前でMCの活動もしているんだとか。
暫くして、病院について受け付けを終えると、診察室から神宮寺医師が出てくる姿を目撃する。
神宮寺医師もこちらに気付いたらしく、貫禄ある雰囲気を漂わせながら俺達の方へ歩いてくる。
「こんにちは先生。お仕事お疲れ様です」
「独歩君、と……貴方は……」
「一昨日世話になった宜野座伸元だ」
「元気そうで良かった。今日は確か独歩君のカウンセリングでしたね。詳しい話はその時に聞きましょうか」
「あぁ。仕事中にすまない」
「いえ。私も貴方の事は気掛かりでしたから。面白い話も聞けそうですし。勿論、独歩君の話もちゃんと聞きますよ」
「あ、は、はい。有難う御座います｣
神宮寺医師はまだやる事があるので一旦離れるが、後でまた会おうと言い、俺と観音坂は椅子に座って待機する。そんな時だった。
「そうです。先程運ばれた男性の知り合いで──────」
こちらの世界で聞くことのなかった、懐かしくも聞き慣れた声が耳に入る。僅かに脈が早まり、受け付けの方に視線を向ける。
受け付け前には、“アイツ”ならば到底着なさそうな白いファーに、丈の短いワンピース。黒いヒールを身に付けた黒髪の女性が立っていた。
後ろ姿なので顔までは分からないが、「そんなまさかな。別人だろう」と自分に言い聞かせて正面を向く。
「先程男性が運ばれたんですね」
「え？」
「あの女性が言ってたので……」
「あぁ……そうらしいな」
手足を組んで一番前の席に座っていると、受け付けの人と看護師の一人が話しをし、黒髪の女性を何処かへ案内するようだ。
「えっと、もう一度お名前の確認よろしいでしょうか？」
「瀬戸塚です」
───────何？
看護師に名前を伝えると、看護師と共に女性が目の前を歩く。しかし、化粧をしているせいで俺の知っている瀬戸塚なのか確信が持てない。
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イマツギ(プロフ) - 続きが楽しみです。お時間があれば更新頑張ってください！ (2022年3月12日 12時) (
レス) @page34 id: f5ff06f155 (このIDを非表示/違反報告)
紅 - 面白い！更新頑張って下さい！ (2020年4月10日 13時) (レス) id: ceacd95bed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遙 | 作成日時：2016年2月6日 20時
