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腕輪 ページ11

翌日、半グレ連中も捕まえ、暇になってしまったので理鶯の居る森へと気分で足を運んでみる。
彼は元海軍らしく、身体能力は中々のようだ。
普段から森に篭って狩人の様な生活を送っているらしい。

「む。Aか。小官に用か?」

「用ってわけじゃないが、ちょっと気分転換に来ただけ。忙しいなら帰るけど」

「構わない。丁度今、狩りをするとこではあるが」

「へぇ?今日は何を狩るんだ?」

「蛇だ」

「蛇かぁ」

「後で調理して食べるが、食うか?」

「うーん……調理法は?」

「串刺しで丸焼き」

銃兎や左馬刻なら絶対嫌がるだろうが、私は生憎、ゲテモノ料理全般無理と言う訳では無い。
虫は無理だが蛇ならまだマシだろう。

(寄生虫とか気になってしまうが……ちょっとだけなら)

「じゃあ、ちょっとだけ。本当、ちょっとだけでいいから、頂こうかな」

「分かった」

私が蛇を食べている所を左馬刻達が見たら絶句モンだろう。いっそ、ギノ達にも食わせてやりたい。
霜月監視官は「絶対色相が悪化する!無理!」とか言いそうだが。

(コウは普通に食べそうだな……)

嘗ての仲間達の姿が頭に浮かび上がり、懐かしく思うのと同時に、らしくもなく少し切なくなる。
決して楽な仕事では無いが、仕事仲間達と過ごす時間は悪くは無かった。

「理鶯、私もついて行っていいか?邪魔にならないよう気を付けるから」

「ああ、良いぞ。歩く時は足元には気を付けろ」

「分かった」

こうやって獲物を探し出す時間、見つけて狩る瞬間は嫌でも猟犬だった頃を思い出させる。
良くも悪くも、落ち着くと言って良いだろう。

(監視官の時よりも、執行官としてのやり方が染み付いちまってるな。こりゃあ)

「一つ、聞いていいか?」

理鶯が歩きながら隣に居る私を見下ろし 、口を開く。私が「何だい?」と返事をすると、理鶯が私の腕輪について聞いてくる。

「左腕の腕輪……何時もつけているが、大事な物なのか?機械の様にも見えるのだが」

理鶯が言っているのは、監視官や執行官達が連絡用の為につけている腕輪の事。
連絡以外にも様々な機能があり、便利な腕輪だ。
今も一応電源はつくにはつくが、他の仲間達への連絡は勿論出来ない。
本来、電波等の問題でエラーになり、使い物にならなくなってもおかしな話ではないが、幸いな事に連絡以外の機能は使用可能になっている。

「ははっ。そうだね。大事な物だよ。機械っぽいのは気にしないで」

(実際機械だが)

「……そうか」

天然……? 理鶯視点→←シンジュクの夜 独歩視点



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イマツギ(プロフ) - 続きが楽しみです。お時間があれば更新頑張ってください! (2022年3月12日 12時) (レス) @page34 id: f5ff06f155 (このIDを非表示/違反報告)
- 面白い!更新頑張って下さい! (2020年4月10日 13時) (レス) id: ceacd95bed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2016年2月6日 20時

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