黄瀬くん、あなたは私にとって……なんなんでしょうね？５

１８０ ページ39

｢そういえば、紫原さんは黄瀬君になんの用事があったんですか？｣




｢あー、なんかね……あれ？



やばー、忘れちった。てか、敦でいいよ。



面倒くさいし。あと敬語もダメ｣





おい。忘れちゃだめであろうに。






｢てかさーAちんって軽いよね〜｣






｢えっ、私男の人とあまり話さないんです…話さないんだけどそういう風に見える？｣






だとしたら少しショックなんだけどな。






｢ん？いや、そういうことじゃなくてね、



体重の話だよ。



もしかしてAちんって天然ちゃん？｣






｢いやいや、まさか｣


もし私が天然ちゃんだったら

まだ少しはモテてたはずだ。







…うん。


いや、この話は悲しくなるからやめよう。




自分がモテないのはとうの昔に自覚している。







｢体重は軽くないよ。



むしろ私はおでぶちゃんだからね｣






｢そんなことないでしょ〜？




だってさっき抱えたとき軽かったよー？｣






｢それは敦君が力持ちだからだよ｣





体格がそれだけ恵まれているなら


パワーも桁外れにあるはずだ。











｢え〜？じゃあ、もう一回お姫様抱っこする？｣









敦君が言い終わったとき、



私の体は突如後ろに傾いてそのまま誰かの腕の中に倒れ込んだ。







その衝撃から香る嫌みじゃない香水。







｢その必要はないっスよ｣

１８１→←１７９

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す