黄瀬くん、あなたは私にとって……なんなんでしょうね？５

１７３　過去の話 ページ31

私は１年生の冬に足を挫いたことがあった。



最初はどうってこと無いと思って

テニスを続けたけどソレが悪化したのは

二年生のこと春だった。




いつも通りに足に体重をかけた瞬間、



　 パキッ



っていう小気味いい音がして、

そんな音がしたかと思うと足に激痛が走った。






どうやら挫いたときに

少し筋がずれてしまい、

それが治らないまま続けたせいで

痛めてしまったらしい。



当然のごとく安静にしているように、

と言われ２週間後に迫っていた大会は

出場を諦めざるを得なくなってしまった。





そんなときだったんだ。

千春が悔しくて泣いていた私を

励ましてくれたのは。





『A、泣かないで。

私はAを待ってるから。

だから治ったら


一緒に全国区プレイヤーになろ？』



この千春の言葉に

そのときの私はどれだけ救われたのだろう。




『一緒に』




その言葉に私は舞い上がったんだ。



バカみたいに嬉しくなったんだ。



だって、




私は１人だけじゃない。





ってその言葉が思わせてくれたんだよ。







今まで欲しかったものは、

千春がくれたんだよ。

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