黄瀬くん、あなたは私にとって……なんなんでしょうね？５

１６９　ふざけるな ページ27

その話を私が初めて聞いたのは、

黄瀬君と付き合って間もないころ、

私が実家に帰った日。






お父さんの口からは




『赤司家がお前を嫁にしたいと、




この間言われたんだがお前はどうしたい？』









と紡がれた。





別に大手会社なら政略結婚なんて珍しくはない話。






そうやって力のある家を自分の傘下にして勢力を伸ばしていくのは昔から変わらない。









私の父親は基本、

自由にさせてくれる人だったから

決定権は私にくれた。







だけどこの話は私だけの将来じゃない。

笹ヶ峰ホールディングスの

将来もかかっているんだ。






だから私は答えをずっと出せないままだった。






赤司さんは確かに美形だったし、

それを抜きにしても書類を見れば見るほど

非の打ち所がないくらい完璧な人だと思った。



でも私だって女の子。


恋愛は自由にしたい。



会ったことがない人といきなり結婚しろ

って言われても私は嫌なんだ。








だけどね、

私は桔梗姉ちゃんよりも出来が悪いし、

女の子らしくもない。

それなのに、

どんなときであっても

私の意見をちゃんと聞いてくれて、

私が足を折ったときも

心配してくれてメディアから遠ざけようとしてくれた。




そんな両親が私は大好きなんだ。




だから私はもうこれ以上はわがままなんて言えないんだよ。









ただ、









｢ふざけるな｣

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