黄瀬くん、あなたは私にとって……なんなんでしょうね？５

１６６　諦めない ページ23

｢ねぇ、黄瀬君教え…｢黄瀬君!!｣｣




私の声と重なって聞こえてきたのは私の元ペアの声だった。








｢……る｣


名前を言ったハズが、思いのほか声が出てなくてかすれた声しか聞こえない。





｢Aっち｣


｢…黄瀬君、大丈夫だよ｣






黄瀬君が心配そうな顔をして私を千春から遠ざけようとするけれど、私だってちゃんと向き合わなきゃいけないんだよ。





いつまでも逃げてばっかりじゃ私は成長できないんだよ。







だからありがたいけど、





ごめん。








私は千春とちゃんと話さなくちゃ。


｢千春、なんの用？｣









｢はぁ？私、あんたとじゃなくて黄瀬君と話したいんだけど？｣





｢じゃあ、黄瀬君になんの用なの？…もし、黄瀬君を脅すようなことだったら私はもう許さないけど？｣






絶対に二度とこんなことがあってたまるか。




どれだけの人が心配してくれたと思ってんだ？







それ以前に黄瀬君がどれだけムリしてたか千春は分かってるの？





｢へぇ？よくそんな事言えるよね？


なんで黄瀬君がアンタから離れたのか知ってんの？｣





｢知らないよ。



でも、そんなことはどうたっていい。





もう絶対に私は黄瀬君を離さないし｣








また離れそうになったら何度だって私はまた今みたいに追いかけてやる。




いくら『しつこい』って言われたとしても、


黄瀬君がちゃんと右の眉毛を上げて言ってくれなきゃ私は諦めないから。









｢っ……じゃあさ、黄瀬君は知ってるの？Aの家のこと｣









その言葉を聞いた瞬間私の視界が揺れた。

１６７　笹ヶ峰→←１６５　犬　黄瀬side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す