黄瀬くん、あなたは私にとって……なんなんでしょうね？５

１６２　ピアス　黄瀬side ページ19

｢え？｣




心の中でAっちに謝りオレは無理矢理Aっちの唇を奪った。





｢んん…黄瀬く、なにする…!?｣







そして、口を開く瞬間を見逃さず
自分の舌をAっちの唇の奥にねじ込む。




｢ふっ…ん、んぅ…やぁ｣





弱い力で必死に抵抗してくる腕をオレはやすやすと片手の中に収めて
自由になった左手でAっちの首筋をなぞる。




｢んんっ…！｣




美夢っちの声が唇と唇の間から漏れた。




｢ふ…ふぇっ、ひっ｣





気付けばAっちの目からは涙が落ちていて、




それがなぜかオレの目にはやたらと鮮明に映った。






｢……これで懲りたら、もう二度と…オレの前に現れないでくださいっス｣




Aっちの手を解放してオレはそう言った。


早くオレをキライになってここから出て行ってくれ。





そう思いながらAっちから顔を背けた。





あぁ、でも最後くらいはあの笑顔が見たかったなぁ…









その願いをぶち壊したのは他の誰でもなくオレ自身だったけど。









｢黄瀬君、私ね…ピアス付けているんだよ？｣







Aっちの言葉に頭を殴られたような感じがした。




なんでそんなことを今言ってくるんだ？






そう思いAっちの方に顔を向けてみればAっちの涙で潤んだ瞳がオレのピアスを捉えていた。






そしてAっちの耳にもオレのと全く同じピアスが光っていた。

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