黄瀬君、あなたは私にとって……なんなんでしょうね？4 (ページ11)

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１１９　マジバ　千春side ページ11

｢こちら、お飲み物のコーヒーになります。ごゆっくりどうぞー｣

レジの前に立つ見え透いた営業スマイルの人からコーヒーを受け取り席へと足を進める。

黄瀬君を脅してからもうすぐ一週間が過ぎようとしていた。

｢ねえ黄瀬君、Aはあれから連絡の１つもくれないのね？｣

｢…｣

私はファストフード店で向かい合って座っている黄瀬君に話し掛けてみたけど

黄瀬君は私の話に興味がないのかさっきからずっと外ばっかり見ている。

さっきレジで貰ってきたコーヒーは透明な氷がコーヒーの黒に混じってどことなく不気味な雰囲気を醸し出していた。

それを口に運ぶとコーヒーの独特な香りが口内に広がる。

予想以上に苦いな。

うぇ。

ああ、そういえば、

｢……黄瀬君、ピアスのもう片方は？｣

どうでもいいことけど、黄瀬君はいつも片方しかピアスをしていない。

なぜかしら？

｢なんでアンタなんかに教えなきゃいけないんスか？

アンタに教える義理なんてないんスけど｣

一瞬黄瀬君は私の方を見てくれたけど、

また視線を外に移してそっけない返事が黄瀬君の唇からこぼれ落ちる。

｢つれないな～…私だって怒るんだぞ？｣

そう言って黄瀬君のほっぺを人差し指で突っついてみた。

｢触んないでもらえるっスか？｣

思っていた以上に冷めた目で見られて私の手を黄瀬君に払いのけられた。

｢あと、そういうのどうでもいいんで

今日オレを呼び出した理由を早く教えてもらえないっスか？オレも暇じゃないんスけど…｣

面倒くさそうに黄瀬君の口からその言葉は紡ぎ出される。

つまんないの。窓の外の何が楽しいの？

そう思っていると黄瀬君の目がいきなり大きく見開かれた。