黄瀬君、あなたは私にとって……なんなんでしょうね？２

３６　本音 ページ7

｢は…？｣



ねぇ、先生。


私は本音で話してるつもりだけど先生がそう思っているんだったら

もう少しさらけ出してみようと思います。


｢そのナイフ振り回して誰に自分を認めて貰いたいの？

周りを見てみれば分かるでしょ？

認められるどころか斉藤君は恐がられてるんだよ？

斉藤君がやりたかったことは違うでしょ？

もっと違うことだったんじゃないの？

ねぇ、斉藤君。恐怖で人と人とは繋げないんだよ。

それぐらいわかるでしょ？それがわかったら離してもらえる？｣









｢ああ、悪かったな。……なんて言うと思ったのかよ！｣









少し体温に馴染んでいたナイフの刃が肌の上を通ったのが分かった。


暖かかったのは一部だけで、やっぱりナイフは冷たかった。





ほらね、先生。

言葉は多分このナイフと同じ。

私がよほど語学の才能溢れるようなヤツじゃない限り本音で話したって伝わるのは、



伝わったように見えるのは表面だけなんだよ。



｢斉藤!!｣




教頭先生が斉藤君に向かって行くのが見えた。


斉藤君は教頭先生に羽交い締めにされて無理矢理どこかに連れていかれた。




私はただその光景を見ることしかできなかった。




首の傷はかすり傷で済んだハズなのに何故か焼けるように熱く、痛い。

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